普段、当たり前として思っていることが実は当たり前じゃなかったりする。
よくあることです。
音楽イベントを開催して皆さんで楽しみましょう♪
著作権なんてカンケー無いのが当たり前だと思っていても、実はJASRACに利用料を支払う必要があるかもしれません。
著作権法には、「演奏権」という権利が定められておりまして。
特段、難しい話ではないので大丈夫です。
音楽を作った人は、演奏出来る。
といった権利。
まあ、一般的には当然ですよね。
でも、これ、少し違います。
正確には、
音楽を作った人だけが、演奏できる。
公衆の前で演奏できるのは、著作者、音楽を作った人だけなんですね、原則は。
(上演権及び演奏権)
第二十二条 著作者は、その著作物を、公衆に直接見せ又は聞かせることを目的として(以下「公に」という。)上演し、又は演奏する権利を専有する。
「専有」するって書かれていますでしょ、これです。
じゃあ、家で一人で演奏するのもダメなのか?というと。
もう一度、上の著作権法22条を見てみますよ。
公衆に直接見せ又は聞かせることを目的として
では、「公衆」って何かといいますと、これも著作権法に定めがあります。
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。5 この法律にいう「公衆」には、特定かつ多数の者を含むものとする。
(著作物の利用の許諾)
第六十三条 著作権者は、他人に対し、その著作物の利用を許諾することができる。
2 前項の許諾を得た者は、その許諾に係る利用方法及び条件の範囲内において、その許諾に係る著作物を利用することができる。
特定の団体のため、多くのお客さんを集めて演奏することは、著作者の許諾がない限り出来ない。
そう定められているのです。
広く集客しないクローズドのイベントだとしても、特定の人達の前で演奏することは著作権法条の「公衆」に該当しますので利用許諾の問題になります。
また、
「公衆に直接見せ又は聞かせることを目的として」
という規定の仕方をしているので、「目的」を持ってイベントを開催してしまうと著作権の問題が発生。
お客がゼロであっても著作権者の利用許諾が必要です。
ここまでのまとめ
公に演奏することができるのは著作者だけ。他人が音楽を公に演奏する場合には、著作者の利用許諾が必要。
そうなりますと、
著作者の利用許諾はどうすればいいのか?という疑問があると思います。
一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRACジャスラック)という団体の名前ぐらいは知っている方も多いでしょう。
現実には、カラオケなどの音楽著作権の多くはJASRACに信託譲渡されているので、著作権の管理権はJASRACが保有しております。
JASRACのホームページは観たことがありますか?
きっと驚きますよ!
利用料のシュミレーションまで用意されていますから。
JASRACカラオケ大会の手続き要否チェックフロー
フローになっているのでとっても分かりやすい。
入場料を取った時点で利用料発生です。
無料イベントでも、ゲストへの謝金があれば利用料発生。
ご覧頂くとわかりますが巷でなされているイベントのほとんどがこのフローで右側の「手続が必要です」に流れていきます。
※出典 JASRAC
著作権の利用許諾が不要な場合は、著作権法にも定められています。
(営利を目的としない上演等)
第三十八条 公表された著作物は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金(いずれの名義をもつてするかを問わず、著作物の提供又は提示につき受ける対価をいう。以下この条において同じ。)を受けない場合には、公に上演し、演奏し、上映し、又は口述することができる。ただし、当該上演、演奏、上映又は口述について実演家又は口述を行う者に対し報酬が支払われる場合は、この限りでない。
コンサートイベントの概算使用料シュミレーションを行ってみました。
入場料 500円
定員 10名
JASRAC管理曲 10曲
時間 90分
以上の場合の概算使用料は、
「演奏利用申込書」及び「演奏利用明細書」が開催日より前に提出された場合、以下の(1)か(2)のいずれか少ない額が使用料となります。開催日より後の場合は、担当支部までお問い合わせください。
(1)1曲単価 250円 × 10曲 = 2,500円
(2)公演1回ごとの使用料 = 2,500円
1公演の概算使用料(税込) 2,700円
- 消費税率は開催予定日が2014年3月31日以前は5%、2014年4月1日以降は8%で算出しています。
- 公演回数が2回以上の場合は、上記(1)か(2)のいずれか少ない額に公演回数を乗じた後、消費税を加算してください。
500円のカラオケ大会を開催するにも結構費用がかかりますね。
JASRACは強制加入団体ではないので、全ての著作者が加入しているわけではありません。
したがって、JASRACが管理していない著作物の場合は、著作者を探して直接許諾を得るのが原則です。
著作権が消滅している曲については、もちろんJASRACの管理対象外ですし、著作権者の許諾を得なくても著作物の利用が認められる場合もあります。
最後までお読み頂きありがとうございました。
知って頂きたかったのは、
音楽イベントを開催するということは著作者の著作物を利用しているということ。
利用する際には、著作者の許諾を得なければならず、かつ利用料を支払わなければならない場合もあるということ。
といったことです。
参考になさって頂けると嬉しいです。
東京都行政書士会著作権相談員
行政書士阿部総合事務所
行政書士阿部隆昭