住民票や戸籍を取得したとき(取得されたとき)に本人に通知する制度を横浜市でも採用したというニュース。
すでに多くの自治体でもこの制度の運用をしています。
同制度は、住民票などが本来の目的以外に使用されることを抑止し、ドメスティックバイオレンス(DV)やストーカーから逃れている被害者を保護することなどにつなげるのが目的。
前夫が元奥さんの居場所を突き止めようと住民票を「不正」請求するといった事案も多い、と実際に役所の方に聞いたことがあります。
本人通知制度は確かに有用で実効性も高い。
問題は。
事前なのか、事後なのか
事前に通知するのか?事後の通知でもOKなのか?
事前通知が不適当な場合があります。
自分の住民票を第三者が取得しようとしている事実を事前に知った本人が、もしもやましいことがある場合。
法律専門職が次のアクションをにらんで正当に取得しているのに、逆に本人の不正を資することにもなりかねません。
事例としてはごく少数でしょうが、可能性としてはなくはない。
だからこそ、次のような取り扱いのある自治体もあるわけです。
厚木市の場合、事前登録した人には不正のあるなしに関係なく通知する。だが、「職務上請求書」を提出することで本人の同意なく交付が認められる弁護士や行政書士ら特定事務受任者の請求は除かれている。
実効性の担保はどうするのか?
横浜市の担当者は「不正な申請を窓口で判断することはできない。正規業務を妨げず、通知の実効性をどう確保するのか難しい。国には法制度化を望みたい」と話す。
不正な申請を窓口で判断するといっても、そもそも申請書上に表れた情報ではその取得目的が「正当」なのか「不正」」なのか判断することは難しい。
というか事実上ムリ、出来ない。
各自治体によって様式は異なりますが、住民票等の取得申請書には取得目的を記載する欄が設けられています。
「国に提出するため」とかそういったことを書くのですが、そこに「犯罪行為に必要なため」とか、「元配偶者の居場所を突き止めて事情を聞くため」などとは書く人はいない。
なので、自治体の対応としては、窓口対応で不正か正当かの判断が出来るように目指すべきでもないし、するべきでもないと思う。
法制度化?も必要ないでしょう。
職責を負っている専門職が、「職務上請求書」を使って請求する場合には非通知にすればいい。
つまり。
原則 通知例外 職務上請求書を使った請求に対しては非通知