弁護士に代表される「●●士」という国家資格者たちのことを士業と言います。士業(しぎょう)って読みます。
一般の方にはほとんど知られることがありませんが、各士業団体には研修制度がしっかりと整備されています。法改正や最新の動向をフォローする意味でも研修は大切ですね。私も成年後見や入管業務等の研修に参加しています。行政書士の場合には、行政書士試験対策としての勉強でたまたま合格し、開業した「先生」がその後の業務に支障がないように後付でフォローする意味合いもあると私は思っています。
なぜなら、行政書士業務をするには行政書士試験の勉強だけでは知識が圧倒的に足りないから。
街の法律家というキャッチコピーを行政書士会が使っているように行政書士は法律家ではあります。このあたりも実は意見、見解の相違がある部分ではありますが、私の好きな法律家の意見もあり現時点では私も行政書士は法律家であると考えています。これも一般の方には知ることがほとんどありませんが、法律系資格試験へと試験科目が改正された平成18年以降の行政書士試験合格者は、試験的にも法律家であることをクリアされたことが証明されています。
法律の勉強をしたことがある方は、よーくご存知でしょう。
知識は積み重ねです。
ときに机いっぱいに拡げられたテキストを全部ひっくり返したくなるほど、地道で報われない作業を繰り返して繰り返して初めて身につく。基本法である民法は行政書士試験の中でもボリュームが大きい分野でもありますが、どうしても行政書士の
行政書士試験の勉強だけして行政書士に合格した人は、圧倒的に民法の知識が足りない。
私の仲間でもそういった行政書士がおりますが、法律的に誤りの知識を他の行政書士に開陳している姿を見ていて「業務的に大丈夫なのか??」と思ったりもします。
一方で、私の仲間ではありませんが、行政書士の中にも自分で知識が足りないと自覚し、内田民法を毎日読んでいるという方もいらっしゃる。
こういった地道な努力が圧倒的な差をつけるたった一つの方法であることは、法律をマジに勉強したことがある人は知っています。
独立開業だけしたい。そのために行政書士になった。
という方には絶対に見えない世界ではあります。
要するに、その行政書士の基本姿勢の問題、資質が問われています。
行政書士会などの研修は、法律の勉強などの地道な積み上げ作業とは対極にあるものであって(もちろん、総合的に法律知識をブラッシュアップしようという趣旨の研修があることは知っています)、いわば辛い辛い積み上げ作業をショートカットする意味合いが強い。
手っ取り早く、実務のポイントや手続き上の問題点などを知ってもらうのが研修
私が相続関連業務が出来るのは、大学時代から民法をやっていて、内田先生、大村先生などのいわゆる「受験本」以外の勉強を多く積んできたから。
とかく軋轢の多い弁護士・司法書士に負けないために、
といったくだらない目的のためではなく、業務を依頼して頂けるクライアントの信頼に応えるためには、行政書士試験対策としての知識だけでは圧倒的に不足しているので、研修による手続き面の修得だけではなく、民法・会社法などの一般法の知識の地道な積み重ねが必要です。
単に独立開業をしたいがために行政書士資格を取得しようと思っている方もいらっしゃるでしょう。受験予備校では、”独立開業に最適”といった謳い文句を使う学校もあるようです。
しかしながら、満足に行政書士資格を使えるようになるには、試験合格後も日々の勉強は絶対に欠かせないものであることは知っていて欲しいと思います。