令和7年3月19日に更新された、中小企業・小規模事業者関係予算等のポイント(令和6年度補正・令和7年度当初予算案)ですが、PDF資料があまりに細かすぎるのでもはや何がポイントなのかも理解しづらい状況です。

要約:中小企業・小規模事業者支援の主要ポイント(令和6年度補正・令和7年度当初予算案)
1. 経営環境の改善と支援内容
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価格転嫁対策(予算:29億円+8.3億円)
- 「価格交渉促進月間」や「下請かけこみ寺」等による相談対応。
- 下請法の厳正な執行、価格交渉の実効性向上など。
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資金繰り支援(予算:223億円)
- 日本政策金融公庫の融資利子補給や信用保証制度を活用。
- 特に日本政策金融公庫補給金(153億円)と中小企業信用補完制度(39億円)。
2. 成長と生産性向上のための支援
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中小企業生産性革命推進事業(予算:3,400億円)
- ものづくり補助金、IT導入補助金、小規模事業者持続化補助金等を含む。
- 省力化投資、成長加速化補助金、事業承継支援を実施。
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成長型中小企業等研究開発支援事業(Go-Tech事業:予算:123億円)
- 大学等と連携し、技術開発と高度なサービス提供を支援。
3. 小規模事業者への支援
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小規模事業対策推進事業(予算:61億円)
- 商工会・商工会議所等を通じた巡回指導・相談支援。
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小規模事業者経営改善資金融資事業(予算:30億円)
- 資金繰り支援として実施。
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地方公共団体と連携した支援事業(予算:10億円+10億円)
- 販路開拓、生産性向上、災害復旧を支援。
4. 事業承継と再編の支援
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中小企業活性化・事業承継総合支援事業(予算:144億円+61億円)
- 事業承継やM&A支援を含む。
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後継者支援ネットワーク事業(予算:4億円)
- 後継者の事業アイデア競争イベントなどを開催。
5. 税制支援
- 法人税軽減税率の延長(19%→15%へ)
- 中小企業投資促進税制の延長
- 固定資産税の特例措置の拡充
- 中小企業防災・減災投資促進税制の延長
6. グリーントランスフォーメーション対応支援
- 中小機構を通じたカーボンニュートラル支援。
- 省エネ型設備の導入支援(予算:760億円)。
- 省エネ診断の実施(予算:34億円+6.1億円)。
7. 海外展開支援
- 中小企業海外展開総合支援事業。
- 海外ビジネス強化促進事業(予算:28億円)。
8. 地域経済の活性化と災害復旧支援
- 小規模事業者支援、商店街活性化支援、災害復旧(予算:213億円)。
中小企業支援策の詳細解説と今後の方向性
1. はじめに
令和6年度補正予算および令和7年度当初予算案では、中小企業・小規模事業者への支援を中心に、経営環境の改善と成長促進を図るための施策が掲げられています。その中でも特に重要な支援項目として、以下の2つが挙げられます。
- 成長と生産性向上のための支援(中小企業生産性革命推進事業、Go-Tech事業など)
- 小規模事業者への支援(小規模事業対策推進事業、地方公共団体との連携事業など)
これらの施策が過去の予算とどのように異なり、今後どのような方向性に進む可能性があるのかについて詳しく解説し、予測を行います。
2. 成長と生産性向上のための支援
(1) 支援内容
中小企業生産性革命推進事業は、ものづくり補助金やIT導入補助金、小規模事業者持続化補助金、事業承継補助金などを含む大規模な支援策です。これらは以下の目的を持って実施されています。
- 新規事業進出と事業転換の支援
- 生産性向上と省力化投資の推進
- 事業承継・M&Aに関するサポートの強化
また、Go-Tech事業(成長型中小企業等研究開発支援事業)では、大学などの研究機関と連携して高度な技術開発やサービス開発を推進することが目的とされています。特に「イノベーション・プロデューサー」を活用した新しい支援形態が特徴です。
(2) 過去の予算との違い
過去の予算と比較して、今回の予算案では次のような違いがあります。
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予算規模の拡大
- 成長加速化補助金や中小企業省力化投資補助事業が新たに取り入れられており、規模が拡大しています。
- 特に、地域の雇用を支える中堅・中小企業を対象とした大規模投資への支援が強化されています。
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研究開発支援の強化
- Go-Tech事業において、大学との連携を促進し、新たな技術開発への支援を拡充することで、イノベーションの創出を支援する取り組みが強化されています。
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M&A支援の明確化
- 事業承継・M&A補助金の対象範囲が広がり、設備投資やPMI(Post-Merger Integration)への専門家活用も支援対象として含まれています。
(3) 今後の方向性
これらの支援策は、単なる資金提供に留まらず、中小企業の成長を中長期的に支援する体制を構築することを目指しています。特に以下の方向性が考えられます。
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イノベーション支援の継続強化
特に研究開発支援においては、さらに多くの大学や研究機関との連携を促進することで、中小企業の技術力向上を図ることが期待されます。 -
M&A支援の拡充と専門化
事業承継やM&Aにおける支援内容を充実させ、地域企業の持続的な成長をサポートする仕組みが確立されると予測されます。 -
地域密着型の投資支援の強化
特に地方公共団体との連携を含めた支援プログラムが拡充される可能性があります。
3. 小規模事業者への支援
(1) 支援内容
小規模事業者に対する支援では、以下の点が重要視されています。
- 商工会や商工会議所を通じた巡回指導や相談支援
- 地方公共団体と連携した販路開拓、生産性向上のための取り組み支援
- 災害復旧に向けた支援(なりわい補助金等)
(2) 過去の予算との違い
過去の予算では、小規模事業者に対する支援は規模が限られていた傾向がありましたが、近年の取り組みでは次の点が特徴的です。
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地方公共団体との連携の強化
- 地方の実情を反映した支援プログラムを構築することで、地域ごとの課題解決を目指しています。
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災害復旧支援の拡大
- 過去の災害における復旧支援策を継続するだけでなく、今後の災害に備えた支援体制の強化も図られています。
(3) 今後の方向性
小規模事業者支援は、地域経済の活性化を図るうえで重要な施策です。今後の方向性としては以下が考えられます。
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地域密着型支援の深化
地方公共団体や商工会議所と連携した施策が引き続き強化される可能性があります。 -
災害対策の拡充と強化
地震や豪雨といった自然災害に対する迅速な対応を可能にする制度設計が行われると予測されます。