ある革新的なフィジカルトレーニングのサービスを思いついたとしよう。
さて、そのサービスを売り出すには人に説明しなければならない。
このトレーニングの効果、サービスメニュー、価格、申し込み方法などなど、申し込みまでの導線をなるべく分かりやすく簡単に。
「そのトレーニングって今までのものと何が違うのですか?」
というターゲット顧客からの質問に答える機会は必ずやってきます。
革新的なフィジカルトレーニングを説明するときに、「筋トレ」という用語を出してしまった方が手っ取り早い。
だけれども、「筋トレ」と伝えた瞬間、もう伝えられた側ではその人の頭の中にある「筋トレ」の絵を描いてしまう。
あらゆる新規サービス、新商品開発の場合で同じ流れをとおります。
肩コリ用のマッサージ機器を当社技術を転用して新しく開発しようとしましょう。
人に伝えるには、マッサージ機器と伝えてしまった方が早い。
たとえ自社の中では、従来のマッサージ機器とは仕組みと効果も全く異なるのにと考えていたとしても。
味噌ラーメンでも、カレーでも、電子機器でも同じ。
自分自身で新しいものを買おうと思ったときに考える頭の中の動きと同じです。
昨日、狩野英孝さんのYouTubeチャンネルを休憩時間に観ておりまして。
観ていて毒がないし、おもしろいし、そして両親と同郷なので応援しています。
メッツコーラやペプシはもちろん知っているけれど、台湾やペールのコーラもあるんだ!と眺めていました。
台湾のコーラを手にして、相手から「どんな飲み物なの?」と聞かれたときに、
1、まあ、コーラなんだけど。
2、薬膳っぽいコーラなんだよね。
二段の説明が必要になります。
そのときに、二段目の説明に成功すると、相手に対して、その新サービスや新商品が圧倒的に早く伝わります。
革新的なフィジカルトレーニングと自社で考えていても、相手からはただの筋トレだよね、と思われる可能性もあります。
ですが、これで正解。
筋トレなんだけど、ただの筋トレではなくて、今までの●●が解決されている革新的なサービスなんだよ!」
と言えばいいだけ。
この●●がポイント。
例えば。
「筋トレというば筋トレなんだけど、効果がでなければ完全無料で利用できるトレーニングなんだ」
と説明したとします。
相手側は、筋トレという用語から、その人の頭の中にある筋トレが自動的に浮かび上がります。
ダンベルカールしている風景であったり、ベンチプレスかもしれません。
でも、なぜ無料?という疑問が湧き上がってきます。
「この新しいサービスは、三次元計測モデルを使って利用者のフォルムを計測し、一定期間測定して、明らかに筋肥大したと確定した段階で、その筋肥大の量に応じた金額を支払うというモデルなんだ」
と説明します。
つまり、ジムに申し込んだけれども、結局、忙しくてジムに通うことがこの1ヶ月出来なかった。
そもそも、そういった会員が一定数存在し、忙しい会員が増えれば儲かるビジネスモデルです。
それが従来のフィットネスジムのビジネスモデルだから、今回のサービスは革新的です。
会員の筋肥大の量が増えれば増えるほどフィットネスジム運営企業の売上は伸びます。
所属しているトレーナーには、そのトレーナー担当の利用者の筋肥大量に応じたインセンティブをつけます。
トレーナーとしてもやる気が出ますよね。
月会費のビジネスモデルは、利用してもしなくても、利用者側からすれば利用料を取られる、運営側からすれば利用料を取れる。
ここに旨味があったのですが、今回の新しいサービスには別の旨味がある。
筋肥大量が増えれば増えるほど、売上利益は青天井に増えていきます。
メジャーで計測するわけではなく、三次元計測モデルでデジタル計測するので無視できるほどの誤差しかなく、顧客からも不満が出ません。
むしろ、筋肥大量をデジタルで把握できるため、自身の成長を確実に実感できる。
1、筋トレ目的のフィットネスジム
2、筋肥大量に応じた従量課金制のジム
二段階目の説明は実際にはかなり練り込む必要がありますが、このような感じになります。
このフィットネスジム、もう少し説明を聞いてみたくなりませんか?
申し込むだけ申し込んで、気が向いたときに行けば費用はかかりません。
効果が現れた(筋肥大)した分だけ費用を払う仕組みなので、成長を実感でき、計算根拠も明確なのでクレームが出ません。
二段階の説明。
でしょうね。
とか、
そんなの当たり前だよね。
という声も聞こえてきそうですが、こういった考え方もあると知っておくことが大切なのです。
大切な人に事業内容のプレゼンをする機会は、たったの30秒しかないかもしれません。
準備していないと出来ない。
そのために、新しいサービス、新商品開発を進める事業者は、常に二段階の説明を練りこんでおくことが必要です。
ちなみに。
上記の完全無料筋肥大従量課金制フィットネスジムのビジネスモデルは崩壊します笑。
諸所、穴だらけです。
例えば、売上が青天井と書きましたが、人の筋肥大量は、骨格などの遺伝的な限界により最大量が決まっています。
世界で研究者が様々な分析を試みており、ある研究モデルでは、身長178センチであれば、除脂肪体重80キロ、体重90キロ。
なので、青天井で筋肥大ができるわけではありません。
ちなみに、脂肪は、増加を抑える骨がないので無限に、と思えるほど増えていきます。
[blogcard url=”https://www.tv-tokyo.co.jp/plus/entertainment/entry/2019/020889.html”]
一日に20000キロカロリーはすごい。
一人当たりの売上の上限が計算できるからいいね、と思われるかもしれませんが、コンテストレベルのビルダーでもない限り、最大筋量を目標としないでしょう。
もちろん、筋トレ系のジムは別論ですが、それ系だけにターゲットを絞ると競合が巨大すぎて勝てそうにありません。
なので、ライト層も取り込む必要があるのですが、そもそもその層は筋肥大を目的としておらず、特に女性の一部では筋トレするとムキムキになるからやらないという都市伝説も根強いとジムオーナーから聞いたことがあります。
顧客からしてみると、自重トレーニングが出来ないというデメリットもあります。
自宅で自重トレーニングをしてしまうと筋肥大してしまうため、ジムで筋肥大したのか、自宅で筋肥大したのかの区別がつかなくなり、筋肥大量の従量課金なので、ジムを使っていないのに課金される可能性があります。
ジム側からすると、価格設定が難しい。
一般男性の場合、頑張っても年間で増やせる筋肉量は3キロ前後。
脂肪はカロリーオーバー生活を続けるだけで簡単に増やせるのですが、筋トレを主体としたボディメイクは意識と工夫が必要になり、それでも一人あたりの年間売上は3キロがMAX
従量課金のグラム数をよほど高単価にしないと経費とのプラマイ競争に追いつかなそう。
そもそも粗利が高く、営業利益率が7%前後しかないない労働集約型産業。
なのでトレーナーなどの従業員には過酷な労働環境がデフォルトになっている、というのもジムオーナーから聞いた話。
設備投資も1500万円程度最低かかるし、慎重に検討するビジネスなんですよね、ジム経営は。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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