前回補助金のデメリットとして書いた「補助金の入金時期が誰にもわからない」に関連するのですが、採択されても現実には補助金で事業開始は出来ません、ということを知ってもらいます。
細かいようですが、事業が「開始」出来ないのです、補助金では!
それでは何のために補助金があるのかわからない。
そう思うかもしれませんが、これもやはり補助金の性質として当然のことなのです。
仮に補助金が後払いではなく、前払いだとしましょう。
補助金を受け取った事業者が、申請書に書いた事業に補助金を使わないことも想定されます。
申請書を書いた時点ではA事業を50万円かけて取り組もうと思ったけれども、採択された時には状況が変わってA事業そのものを取りやめにしていた。
けれども、50万円は交付されているのでB事業として使ってしまおう!
そうなるかもしれません。
しかし、そもそもA事業に補助金を使ってもOKということで採択がされました。その結果として交付された50万円をB事業に使ってはダメなのです。
どうしてかと言いますと、
A事業もB事業も、同じX株式会社が取り組むとしても、補助金はX株式会社が取り組むA事業に対して交付されたもの。
同じ会社だからといって、どのようなことに使っていい訳ではないのです。
なぜかというと、補助金にはそれぞれ目的がありまして。
例えば、小規模事業者持続化補助金であれば「販路開拓」を後押しするのが目的。
A事業に取り組むことがX株式会社の販路開拓になると認めたから採択がされたのです。
何も審査していないB事業のために補助金を使っていいわけがありません。
補助金として交付が決定した額が、本当に申請書通りにその事業に使われたのか?
これを審査した後でないと補助金が交付されないのはむしろ当然なのです。
ということは、補助事業(補助金を使って取り組む事業)を開始するには、自己資金や融資によって事業資金を確保する必要があるのです。
先日の持続化補助金対策セミナーでも、補助金のデメリットとしてお伝えしましたが、考えようによってデメリットではなく補助金の性質上、当然のこと。
ただ、採択された後で知るよりも、事前に知っておいた方がいいですね。
せっかく採択されても事業が開始できないのでは、頑張って申請書を作った意味がありません。
解決支援コンサルタント野獣系行政書士阿部隆昭