【導入】
「この機械って補助金の対象になりますか?」
これは、私たち行政書士阿部総合事務所に最も多く寄せられる質問のひとつです。実際、対象になるかどうかを判断するには、単に“機械の種類”だけを見ればいいというわけではありません。重要なのは、その設備がどれほど「省力化」に寄与しているかを、どれだけ論理的に説明できるかにかかっています。
この記事では、省力化補助金〈一般型〉において、どのような経費・設備が対象になるのか、そしてどのような考え方で「省力化効果」を示すべきかについて、一次情報に基づいて丁寧に解説していきます。

【対象経費の基本的な分類】
2025年度「中小企業省力化投資補助事業(一般型)」第2回公募要領(※2025年6月時点で最新)において、補助対象経費は以下の6つに分類されています:
- 機械装置・システム構築費
- クラウドサービス利用費
- 外注費
- 専門家経費
- 技術導入費
- 知的財産権等関連経費
この中でも中心となるのは「機械装置・システム構築費」であり、IoT機器・ロボット・AI制御装置・制御ソフトなどが該当します。また、「クラウドサービス利用費」は、補助事業に直接関係するクラウドツール(例:業務プロセス管理SaaSなど)を補助対象としています。
ただし、あくまで「省力化」という目的に資する機器・サービスであることが前提であり、その証明が不十分である場合は対象外とされる可能性があります。
【補助対象になるための2つの視点】
機器のスペックや有名サービスであることは関係ありません。補助対象になるためには、以下の2点が要件として極めて重要です:
① 導入する設備・サービスが「省力化」に明確に貢献していること。
② その省力化効果を「定量的(数字で)根拠をもって」説明できること。
例えば、POSレジの導入を考えた場合、「新しいから」「クラウド連携があるから」だけでは足りません。
- 1件の会計時間:45秒 → 30秒(15秒短縮)
- 1日50件対応 × 月25営業日 → 年間で156時間相当の業務効率化
- これによりレジ要員を後方業務に再配置し、受注処理の速度を2倍に
というように、時間的効果→人的配置の最適化→売上向上または原価削減というストーリーが必要です。
【注意:補助対象外となる経費】
一次情報である公募要領により、次のような経費は明確に補助対象外とされています:
- 汎用的なパソコン、タブレット、スマートフォン端末(単体購入)
- 汎用アプリ・ソフトウェアで業務に特化していないもの
- 補助事業に直接関係しない外注や支出
- 交付決定前に発注・契約・支払が行われたもの(全て対象外)
- 補助対象外とされた機器のリース料・保守料・消耗品
※ホームページ制作・広告等についての制限や記載は、公募要領上は明示されておらず、ケースバイケースでの判断が求められます。
【導入事例で見る対象範囲(想定例)】
▶製造業の場合:
- 自動梱包装置:1日2時間分の手作業を短縮
- AI検品システム:目視作業を削減し、検査工数を半減
▶サービス業の場合:
- 自動予約システム:受付・確認電話の対応時間を70%削減
- 自動精算機:レジスタッフの負担軽減・再配置による待ち時間短縮
▶医療・介護業の場合:
- 電子カルテと勤怠管理の統合システム:記録ミス減・職員の移動回数減少
- 自動薬仕分け機:配薬ミス防止+薬剤師の記録業務負担を1/3に
これらはいずれも、「誰の、どの業務が、どれだけ短縮・最適化されるか」を具体的に数値化したうえで採択に至った事例です。
【省力化指数とは?】
“省力化指数”という用語自体は公募要領には明示されていませんが、実際の申請では、次のような「定量的指標(KPI)」が評価ポイントになります:
- 人数:現場1人あたりの作業時間の減少(◯時間/月)
- 時間:1件あたりにかかる平均作業時間(◯分短縮)
- 頻度:1日◯件 × 月◯回 × 年◯回
- 金額:作業時間×時給によるコスト削減試算
これらを組み合わせて、**導入前と導入後の差分=「見える化」**することが重要です。
【まとめ】
「この設備は対象か?」と考える前に、「この設備で何がどう変わるのか?」を丁寧に言語化することが、申請における最大のカギです。
そしてその“変化”が、人手不足の緩和、生産性の向上、そして賃上げという社会的効果に結びついているかどうか。この視点を常に持つことが、省力化補助金を活用する企業に求められている姿勢です。
次回は、申請の前提条件となる「GビズID」「省力化」「賃上げ」などの応募要件について解説します。
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LDAM/“LinkDrive by Abe method” 行政書士阿部総合事務所