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【500万円の壁】ものづくり補助金「機械装置・システム構築費」以外の上限ルールを徹底解説|行政書士阿部総合事務所

December 14, 2025
約 12 分

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【ものづくり補助金】設備投資とシステム構築費の「補助対象経費」を世界一やさしく解説

ものづくり補助金の相談を受けていて、いちばん質問が多いのが
「どこまでが補助対象経費になるのか?」 というテーマです。

特に最近は、AI・クラウド・業務システムの導入が増えており、

  • クラウドシステムのようにモノが残らない投資でも本当に大丈夫?
  • サブスク利用料は? 設定費用は?

といった不安の声を、多くの事業者さんから耳にします。

この記事のゴール
・公募要領p.21「2.7」「補助対象経費」の内容を、やさしく整理する
・設備投資と「機械装置・システム構築費」の“線引き”をイメージできるようにする
・よくある失敗(交付決定前の発注・支払い方法のミス等)を事前に防ぐ

行政書士阿部隆昭が率いる行政書士阿部総合事務所では、 補助金ドクター診断(powered by LDAM)を通じて、
「採択可能性を高める補助金活用をお手伝いしています。


1.そもそも「補助対象経費」とは何か?

まず、用語の整理から始めましょう。

かんたんに言うと:
補助対象経費=「補助事業のために実際に支払うお金のうち、国が“対象にしてよい”と認めた部分」です。

つまり、次の2つの条件を満たす必要があります。

  • 補助事業の目的を達成するために本当に必要な支出であること
  • 公募要領で「補助対象経費」として認められている種類の支出であること

このうち、本記事で扱うのは「設備投資(機械装置・システム構築費など)」に関するルールです。
ものづくり補助金では、ここが必須条件になっているため、最初にしっかり押さえておきましょう。


2.設備投資が「必須」な理由と基本ルール

(1)本補助事業では設備投資が必須

公募要領p.21「2.7.1」では、冒頭で次のように明記されています。

  • 本補助事業では設備投資を行うことが必須
  • 設備投資は必ず単価50万円(税抜)以上の機械装置等を取得して、納品・検収を行い、適切に管理すること

ポイントは2つです。

  • 経費の中に「単価50万円以上の設備投資」が含まれていないと、そもそも要件を満たさない
  • “なんとなく便利になりそうなソフトやサービス”だけでは、申請の土台に乗りにくい

国としては、この補助金を通じて「中小企業の生産性を押し上げる設備投資」を後押ししたい、という明確な意図があります。
だからこそ、「設備投資がない計画」は、ものづくり補助金の枠組みから外れてしまうのです。

(2)事業費全体のうち 3 分の 2 以上が「補助対象経費」であること

さらに、公募要領では次のような条件も定められています。

ルール:
補助対象経費(税抜)は、事業に要する経費(税抜)の 3 分の 2 以上であることが必要

かんたんに言い換えると、

  • 補助事業にかかるお金全体のうち、少なくとも3分の2以上は「補助対象経費」で構成されていること
  • 残り3分の1以内であれば、広告費・研修費など、他の経費が含まれていてもOK(※別途ルールあり)

例えば、事業全体で1,500万円使う計画なら、そのうち少なくとも1,000万円以上
「機械装置・システム構築費などの補助対象経費」である必要があります。

よくある誤解
「補助金でもらえる分(たとえば1,000万円)さえ対象経費ならいいんでしょ?」
→ 実際には事業全体の構成がチェックされます。設備投資の割合が低すぎると、計画全体の説得力が落ちてしまいます。

3.「機械装置・システム構築費」と「その他経費」の関係をイメージする

(1)機械装置・システム構築費とは?

公募要領では、
「機械装置・システム構築費(海外子会社への外注費における機械装置・システム構築費にあたる経費を含む)」
と定義されています。

イメージしやすいように、代表的な例を挙げてみます。

  • 生産ラインの加工機、検査機、搬送機など
  • 3Dプリンタ、NC旋盤、ロボットアーム
  • 業務用サーバ、制御盤、IoT機器
  • 生産管理システム、在庫管理システム、予約管理システムなどの構築費

共通するのは、「事業の中で継続的に使われる“道具”であり、資産として残るもの」という点です。
ハードウェアだけでなく、業務システムの構築費もここに含まれます。

(2)「その他の経費は500万円まで」の意味

同じセクションの中に、次のような一文があります。

「『機械装置・システム構築費』以外の経費は、総額で500万円(税抜)までを補助上限額とします。」
(グローバル枠の場合は1,000万円)

ここでポイントになるのは、「機械装置・システム構築費が500万円まで」ではなく
「機械装置・システム構築費“以外”の経費の合計が500万円まで」という意味だということです。

「以外の経費」の例:

  • 技術指導や研修のための専門家経費
  • 機械の運搬費・据付費
  • 試作品の原材料費 など
イメージ:
計画の「主役」はあくまで 機械装置・システム構築費
それをサポートする「脇役」(専門家経費や運搬費など)は、合計500万円までが補助対象になります。

そのため、システム中心の投資計画を組む場合でも、構築費そのものには上限はありません
ただし、「サポート的な経費」に頼りすぎると上限500万円にすぐ達してしまうため、
設備・システム本体にしっかり投資する構成が大切になります。


4.交付決定前の発注・契約・購入は「原則NG」

補助金ではおなじみのルールですが、ものづくり補助金でも
「交付決定日より前に発注・契約・購入したものは、原則として補助対象外」です。

よくある失敗パターン
・採択される前から納期を気にして先に注文してしまう
・「見積書」のつもりで、実は注文書にサインしてしまっている
・リース契約・サブスク契約を先に結んでしまう

見積を取ること自体は必要です。しかし、「契約」「注文」「支払い」につながる行為は、
交付決定後までしっかり待つ必要があります。
ここを守れていないと、せっかく採択されても、後から
「その設備は対象外です」と言われてしまうケースもあります。


5.支払い方法のルール:現金NG・カードは原則NG

補助対象経費として認められるためには、「いつ、どの名義で、どのように支払ったか」も重要です。

原則
・支払いは補助事業実施期間中に行うこと
・支払い方法は、補助事業者自身の名義で行った銀行振込で確認すること
・現金払い・クレジットカード払いは原則不可
・やむを得ずカード等を使う場合は、事前に事務局へ相談すること

ここで求められているのは、「お金の流れを客観的な証拠で追える状態」です。
銀行振込であれば、振込明細・通帳コピーなどで、いつ・誰から誰へ・いくら支払ったのかが一目でわかります。

実務上のポイント:

  • 社長個人名義の口座から支払った場合はNGになることがあります。必ず法人名義の口座から支払うようにしましょう。
  • 外国送金の場合は、送金手数料・為替レートなども記録として残しておくと安心です。

6.見積取得と「価格妥当性」をどう示すか

補助金交付候補者として採択されると、次のような追加ルールが登場します。

  • 単価50万円(税抜)以上の物件等については、原則として2者以上から同一条件による見積書を取得する
  • 価格の妥当性を確認できるよう、仕様書・比較表などの提出を求められることがある

ここで重要なのは、「一番安い会社を選ばなければならない」という話ではない、ということです。

  • 性能・サポート体制・既存システムとの相性などを含めて、総合的に判断してよい
  • ただし、「なぜその会社を選んだのか」を説明できるようにしておく必要がある

たとえば、次のような説明ができていれば十分です。

  • 最安値ではないが、導入後の保守体制が充実している
  • 類似業種への導入実績が多く、トラブル時の対応も期待できる
  • 自社の既存システムとの連携実績があり、リスクが低い

7.よくある「落とし穴」3パターン

① サブスクや運転費だけで計画を組んでしまう

便利なクラウドサービスを並べただけの計画は、
設備投資としての厚みに欠けると判断されがちです。
「どの設備・システムを導入し、それによってどの業務がどれくらい改善されるのか」を、具体的に描きましょう。

② 交付決定前に“うっかり契約”してしまう

特にシステム案件では、要件定義書やPoC(試験導入)からそのまま本契約に移行してしまい、
気づいたら交付決定前に契約・支払いが完了していた、というケースもあります。
「正式な契約・注文は、交付決定通知が届いてから」とチーム内で共有しておくことが大切です。

③ 個人カード・現金払いで支払ってしまう

急ぎの支払いだからといって、社長個人のクレジットカードや現金で支払ってしまうと、
後から補助対象経費として認められない可能性が高くなります。
「法人名義の口座からの振込」を、社内ルールとして徹底しましょう。


8.まとめ:お金の流れを設計できれば、補助対象経費は怖くない

ここまで、ものづくり補助金の「補助対象経費」、特に設備投資とシステム構築費について見てきました。

  • 設備投資(単価50万円以上)は必須条件であること
  • 事業費全体のうち3分の2以上が補助対象経費で構成されている必要があること
  • 「機械装置・システム構築費」が主役であり、それ以外の経費は合計500万円までが上限であること(グローバル枠除く)
  • 交付決定前の発注・契約・支払いは原則NGであること
  • 支払い方法は、原則として法人名義の銀行振込であること
  • 見積と仕様書を通じて、「価格の妥当性」を説明できるようにしておくこと

補助対象経費のルールは、一見すると細かくて複雑に感じられるかもしれません。
ですが、本質的には、

「どんな設備・システムに投資し、どのようにお金が動き、その結果として事業がどう良くなるのか」
を、筋の通った形で示してほしい――というシンプルな要請です。

もしこの記事を読んで、

  • 自社の計画が補助対象経費のルールに合っているか不安
  • システム中心の投資計画をどう組み立てればよいか相談したい
  • 付加価値額・賃金要件とのバランスも含めて整理してほしい

と感じられた場合は、補助金ドクター診断(powered by LDAM)の活用もご検討ください。
制度の読み解きから事業計画の「数字設計」まで、行政書士阿部総合事務所が伴走します。

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この記事が、後者を選ぶための一歩になれば嬉しく思います。

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行政書士阿部隆昭

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