今回は弊所がYouTubeで公開した最新動画「震源×補助金」完全版の内容を詳しくご紹介しながら、補助金活用の本質と成功のポイントについて解説します。
補助金は「燃料」であり、「エンジン」ではない
補助金活用について語られるとき、多くの方は「いくらもらえるか」「どんな制度があるか」といった表面的な情報に目が向きがちです。
しかし、本動画の冒頭で私が問いかけたのは、そもそも「あなたの事業はなぜ存在しているのか?」という根源的な問いです。
この根源を私たちは「震源」と呼びます。
震源とは、単なる理念やスローガンではなく、事業や経営者の心の奥底から湧き上がる“内的必然”。
「なぜその事業をするのか」「何を実現したいのか」という強い動機こそが、経営の軸となります。
補助金はその震源に基づく経営を加速させる「燃料」の役割であり、燃料だけあっても進む方向が定まっていなければ意味がありません。
だからこそ、補助金活用は制度のテクニックや採択率を追うことよりも、震源に立ち返ることが大切なのです。
補助金の位置づけを誤ると経営がブレる
動画ではまず、補助金を「目的化」してしまうことの危険性を具体例とともに解説しました。
例えば、補助金を得るために申請書類作成に全リソースを注ぎ込み、現場の施策や経営本来のスピードが停滞してしまうケースです。
これは、補助金が「ゴール」となり、本来の目的である事業成長からブレてしまった典型例です。
正しくは補助金はあくまで「ツール」です。
すでに走っている経営の速度をさらに高めるための「道具」として使いこなすべきものです。
「金額逆算」から始める落とし穴
多くの方が陥るのが「補助金額ありき」の逆算思考です。
「最大100万円もらえるなら、何か買おう」「予算を消化しなければ損」という感覚です。
これでは申請のために無理に案件を作り、本来解決すべき課題からズレた施策に補助金を使うことになりかねません。
反対に、「何を変えたいのか」「どんな課題をどう解決したいのか」という課題起点で考えることが重要です。
こうした発想の転換こそ、補助金を経営課題解決の加速装置に変える鍵となります。
補助金ありきではない一貫性ある戦略を
補助金を目的化すると、事業の軸が後回しになり、表面的な施策だけが先行してしまうリスクがあります。
例えば「補助金の対象経費だから機械を導入する」「加点のために人材育成も入れる」といった補助金合わせの施策は、経営の本質から離れてしまうことが少なくありません。
動画では、
「経営理念(事業の軸)」 → 「補助金対応」 → 「現場実行」
の3要素が有機的に結びつくことが成功の前提だと解説しています。
採択されたけれど実行できず、計画倒れになるケースも実は多く、申請から実行までを一貫して設計することの重要性を訴えました。
震源とは何か?経営の「内側から世界を変える起点」
震源という言葉は聞き慣れないかもしれませんが、これは「なぜ自分たちはこの事業をやるのか」「何を実現したいのか」という存在理由そのものを指します。
これが明確であれば、判断にも一貫性が生まれ、補助金活用も自然と最適化されます。
「顧客ではなく社会に何を届けたいか」「5年後、10年後の世界にどう関わるのか」「誰の願いに応えるのか」などの問いに言葉で答えられるかがポイントです。
補助金は申請で終わりではない。実行設計が成功の鍵
補助金は「後払い」が原則。
採択されてからの報告、証憑、納品といった実行管理が非常に重要です。
報告書は事業計画との整合性が求められ、契約書・納品書・振込明細・写真などの証憑書類が必要です。
また、人件費の管理や経理処理も厳格に行わなければなりません。
制度の信頼を損なわない体制づくりとして、計画的な実行管理と適切な文書管理が必須です。
LDAMが提案する「実行設計7つのポイント」
- 実施計画の見える化(KPI設定、役割分担)
- 契約・発注の適正化
- 伴走できる社内体制の構築
- 厳格な経理処理ルールの設定
- 資金繰りの見通しの確保
- 成果の見える化(売上・KPI)
- 公募要領改定などの制度適応力
これらを事前に組み込み、実行可能な計画だけを申請段階で描くことが成功への近道です。
まとめ:「問い」から始める補助金活用
補助金活用で成果を出す企業は、必ず「問い」からスタートしています。
「なぜこの事業をやるのか?」「どんな未来をつくりたいのか?」という根源的な問いです。
補助金は単なる資金調達の手段ではなく、経営を加速させる装置であり、事業の理念や構想を映し出す鏡でもあります。
私たちLDAMは、補助金申請代行ではなく、経営の震源に触れる支援を提供しています。
行政書士阿部総合事務所 行政書士阿部隆昭