精神障がい者のお子さんを持つ家庭でもほとんど知られていないのが特定贈与信託。
特定贈与信託とは、精神障がい者のお子さんの扶養のために、親御さんの金銭を預けることで、将来の親なき後問題に有効に対処することができる仕組み。
最大6,000万円まで贈与税が非課税になるなど、特定贈与信託を利用する事により得られるメリットは大きい。
しかしながら、知名度がほぼないために、年間1300件程度の利用にとどまっています。
利用件数が増えない大きな理由は、信託制度の複雑さ。
複雑であるが故に、一般の方には理解が難しですし、信託銀行には特定贈与信託に詳しい担当者がいない支店もあるのです。
一般の方が特定贈与信託などの信託商品を調べようと思ったときに、まずは三井住友信託銀行などの金融機関に確認するのが普通。
しかし、私がお薦めするのは信託協会のWEBサイトです。
私たちの生活に未だ信託が身近でなかった頃から、信託協会に問い合わせをしながら信託契約書を作成していたときもありました。
日本の主要な信託銀行で組織されている信託協会のWEBサイトは私たち専門職が見ても分かり易くて勉強になるのです。
例えば、信託協会の信託機能というページ
信託の機能
信託の主な機能としては、財産管理機能、転換機能、倒産隔離機能があげられます。これらの機能を活用することにより、信託は様々なニーズに対応する仕組みとして利用されています。
財産管理機能
委託者や受益者に代わって、専門家である受託者に財産の管理・処分を委ねることができます。
なお、受託者は、信託目的の範囲内で、これを行使しなければなりません。
転換機能
信託することにより信託財産が信託受益権という権利となり、信託目的に応じ、その財産の属性や数、財産権の性状などを転換することができます。
具体的には、①効率的な運用を行うため、多数の者が信託した金銭をまとめること、②投資しやすくするため、大きな信託財産を小口化すること、③流通しやすくするため、不動産などの信託財産を受益権にすることなどが可能です。
倒産隔離機能
信託された財産は、委託者の名義ではなく、受託者の名義となることから委託者の倒産の影響を受けません。
また、信託財産は、受託者の相続財産にはならず、さらに受託者の債権者による強制執行が禁じられているため、受託者の倒産の影響を受けません。
「親なき後問題」なのに、倒産隔離機能なんて関係ないのでは?
親御さんの財産はすでに信託財産となっていますので、相続財産ではありません。
自分たちにも法律上の相続分どおりに財産をよこせ!