つい先日開催したエンディングノートの講座でも触れた話題です。 エンディングノートという名前はある程度知れ渡っているし、エンディングノートとは何をするものなのかも知っている方が多い。なのに、実際にエンディングノートを書いている、エンディングノートを作ったことがある、といった方は未だまだ少ないのが実感です。 講座の中でも特に質問が多いのが、両親にエンディングノートを書いてもらうにはどうしたら良いのか?といったこと。 確かに悩んでいる方は多い。まず大前提としてエンディングノートを書く能力、具体的には法律的な判断能力とまでいかなくてもモノゴトを整理する能力が残されていなければなりません。
遺言書もエンディングノートも、書くのには未だ早い。
ということはありません。むしろ、遅いよりはずっといい。
息子さん、娘さん世代の方は、どのようにアプローチをすれば両親にエンディングノートを書いてもらえるのでしょうか?
”オレの財産を狙ってるのか!”と怒り出す頑固なお父さんには、「エンディングノートをそろそろ書いたら?」なんて言い出しづらい。 ”自分が書きたいと思ったら書くわよ”と言い続けて早三年の意固地なお母さんにエンディングノートを書いてもらえる良い策はあるのでしょうか? エンディングノートの講師をされる方の多くが間違ってしまうのが、恐怖を煽ってエンディングノートを書いてもらおうとすること。 確かに、エンディングノートを作らないと万が一の事が起きたとき遺された家族がとても困ることになります。死の瞬間まで家族にストレスを抱え込ませる訳にはいきません。病気で倒れた時にでも、エンディングノートに銀行口座が書いてあれば生活資金にも困ることがないでしょう。介護や葬儀の希望など、遺された家族にとっては、どのような情報でも助かるのです。 エンディングノートを書いて欲しい。もういい加減書いて、早く書いて、さっさっと書いて! これじゃあ、書いてくれないんです。”こんなこと言ってない”と思われる方でも、スバリ口には出してはいませんが、お父さんお母さんが受ける印象はそうかもしれませんよ。 ”困る困る”、といったマイナスイメージの言葉を浴びせつけられたら、そりゃ嫌になるわけです。ホントはエンディングノートを書いたほうがいいと思ってはいても、娘、息子が勧めるものを書くのは嫌だ、という気持ちになるのも分かります。
エンディングノートを気持ちよく書いてもらうには、マイナスイメージの言葉は一切使わないのがポイント
”死んだ時に私たちが困るから書いて!”と言われれば、「まだ死にやしないから結構です」となる。 でも、 ”死んだ時に私たちがお母さんやお父さんのことをずっと想っていたいから書いて♡”と、 ノートをそっと差し出したら、そうか、そうなのか、書くよエンディングノート、今すぐ書き始めるよ ってなるわけです。 そんな上手くいかないと思われるかもしれませんが、モノは良いようです。人間なんて感情100%の生き物です。言葉がけ一つでその日一日が楽しく過ごせた経験ってありますよね。街でふとした瞬間に親切にされたとかね。 どれだけ気持ちよく楽しくエンディングノートを書いてもらうかだけを考えると、それぞれのご家族にあった素敵な方法が見つかると思いますよ。 誰かが困るから書く、そんなノート誰だって進んで書きたくありませんから。 行政書士阿部総合事務所 行政書士阿部隆昭