いつかのセミナーで。
主催者の方に言われた「あべさんは変わった経歴をお持ちなんですね〜」という言葉。
嬉しいですね。
間に高専挟んでるだけですけどね。
ご年配の方にほど高専パワーは効くわけ。
力学とか物理とか講学的なものだけでなく、旋盤実習・フライス盤、冶金実習、棒ヤスリで精度を出し、卒研で光弾性実験をやった事のある行政書士はさすがにいないだろう。
この経験がどう活きるかというと。
たとえば、金属加工の経営者さんとも感覚的なお話が出来るということ。
先日の訪問支援のときのようにね。
ほんの些細な事なんだけどね。
あの頃はこうだったバナシについていけるわけ。
行政書士としては変わった経歴なのでそこに着目されて話も拡がるわけだけれど。
同業でも全く同じ道を歩んできた人は皆無なはずなので、誰でも打ち出し方次第で特徴を出せるはず。
経歴は分かりやすいけれども、そうではないところでいかにオリジナリティーを出すかが、よく言われているところのセルフブランディングやパーソナルブランディングというもの。
簡単に出来るブランディングの方法はギャップを打ち出す事。
僕の経営者仲間でもそれに成功している方がいる。
名刺交換しただけで話が盛り上がり、身の上話やお仕事の変遷を話しても相手がもっともっと知りたがるような取り組みをたくさん持っていらっしゃる。
それが二つではなく、三つ四つと増えるほどその人の希少性は高まり、換えが効かない唯一無二の存在になる。
さらに過去の経験が組み合わさると力強さも加わる。
どうしてかというと、その経験欲しさに過去をいじることは誰にも出来ないから。
実は昔々おうちサロンをしていました!
おーっ!
実は歌もピアノも弾けるんです!
えーっ!
実は薬膳のお料理も提供出来るんです。
きゃーっ!
その経営者さんが例えば名刺交換をするたびに、そんな状況を何度も何度も目の当たりにしていると本当にすごいなあといつも思っている。
実はこれも出来る、あれも出来る、なんてことが積み重なってそれがクロスオーバーしてくるともはや勝手にブランディングされてくる。
変わった肩書とか必要ない。
実名だけでいけるようになる。
その点でも僕はまだまだその経営者さんに及ばない。
「価値」って、一つは影響力だと思っていて。
人に与えたモノが広く深くなればなるほど、それは価値がある。
昔からそう思っている。
例えば、その経営者さんが作ったオリジナル料理をイベント参加者の皆が美味しい美味しいこんなに美味しいのどうやって作るの?と心揺さぶられている姿を見るとき。
価値が伝わってよかったなあ、と思っている。
例えば、その経営者さんが唄った歌が耳に残り、あの時の歌!、また唄って唄ってと言われている姿を見るとき。
価値がわかってくれてよかったなあ、と思ったりもする。
僕はその点でもその経営者さんにまだまだ及ばない。
独立個人、事業性個人というだけで、箱だけの体裁を持っている「社長」からフリーランスという立場だけでマウンティングされている状況を目の当たりするとき。
まだ事業としては始まったばかりというだけで、不動産付き営業権付きの場所に戸籍を移しただけの立場というだけでやり込められている姿を目の当たりにするとき。
人に与えている価値は量も質も違うだろうに、ただ箱を持っているだけで、たまたま今その立場にあるだけで、臆面もなくよくそういう見下ろす立ち位置に立てるなあと思ったりもする。
生活かけて独立個人でやり続けているだけで相当に偉い。
旦那が稼ぐから自分がやらなくても生活はできる、なんてのとは全く全然100%訳が違う。
他に言葉があるか探したけれど、「偉い」という表現が一番マッチする。
肩書だけの社長なんてなんとも思わない。というか他で敵わないを知っているからこそ、肩書きを使ってマウンティングしにかかるわけだから。
そんな状況が日々起こっている中でも、当人は口角上げて頑張っている。
圧倒的に尊敬できるし、同じ立ち位置に居る者として取り組みをいつも側で見させてもらっている。
取っ掛かりは目新しい肩書であることは必要だと思うけれども、ブランディングを地肉化させるものは行動でしかない。
行動し続けて、価値が伝わり出すと、ほーらねっていうぐらい両手を広げて通せんぼする人が現れてくるのは常。
だけど、それを払いのけるのではなく、うまく掻い潜りながら進むのがいいんだろうなあ。