助成金と違って補助金は審査試験であるからこそ申請代行をどの専門家に依頼するかが採択への分かれ道
こんな話から本エントリーを始めようと思っています。
今まで書いてきた他のブログ記事を含めても今回は最長のエントリーになります。
小規模事業者持続化補助金申請の採択のために事業者が取り組むべきノウハウを公開し、完全解説します。
例として取り上げる公募要領は現在公開中の平成30年度補正予算ですが、おそらく今後公開される小規模事業者持続化補助金の全てに使えます。
なぜかというと、小規模事業者持続化補助金の制度趣旨に沿った方法だからです。
小見出しに戻りますが、小規模事業者持続化補助金申請、いや小規模事業者持続化補助金に限らず、補助金申請には自社で取り組む場合と専門家に依頼する場合との二パターンに分かれます。
補助金申請を依頼する専門家はどのように選んでいるかと、これは3パターンに別れます。
1、顧問税理士などの紹介
2、知人経営者の紹介
3、インターネットで検索
さて、補助金を活用して業績向上に取り組みたい事業者はどのように補助金申請代行の専門家を選んでいるのでしょうか?
これは明確にパターン分けができません。以下の要素を複合して選択されています。
1、過去の補助金申請代行の採択率
2、申請代行の報酬額
3、専門家、コンサルタントとしての信頼性
「採択率」、「報酬額」、「信頼性」のどれに重きを置くかは事業者次第。
着手金、成功報酬含めて出来るだけ安い金額を選ぶ事業者も多いのは事実。
報酬額をケチっているというのではなく、事務担当者としては比較して安い専門家を選んだほうが決済が通りやすいという事情もあるでしょう。
紹介の場合には、紹介者のフィルターを通っていますので「信頼性」の要素よりも他の要素を重要視される場合。
インターネット検索の場合には、まずは「報酬額」で比較される事業者が多い。
自社で申請する場合には、自社の部門で採択率を高める取り組みが可能かどうかを検討すべきです。
なぜなら、補助金は要件さえ満たしていれば勝てるものではなく、審査があるから。
その審査をクリアできるほどの精度の高い申請書を作り上げる部門があるのであれば専門家に申請代行を依頼する必要はないでしょう。
もしも、それが出来ないのであれば自社で取り組むだけの労力・時間を捨てることに他なりません。
無駄です。
それならば報酬額を支払ってでも専門家に依頼すべきです。
採択可能性がゼロ以上70%未満であれば、自社で申請するのを避けるべき。
採択可能性がないにも関わらず、自社で申請するといった決定をするのは会社としても損失以外の何ものでもありません。
補助金はいつでも公募しているわけではありません。
チャンス、機会を踏まえた事業戦略を執る必要があるのです。
補助金申請の代行の専門家はどうやって選ぶべきでしょうか?
補助金申請代行の専門家をどのように選んでいるかは先ほどご説明しました。
事業者は、「採択率」・「報酬額」・「信頼性」、これらの三要素で選んでいます。
さて、これも最初に書いたことですが、補助金は審査試験です。
審査をクリアしなければ補助金の戦いに勝てません。
補助金の戦いに勝ってきた割合のことを「採択率」と呼んでいます。
過去の補助金申請の採択率が高ければ審査を勝ち抜くことができる能力がある専門家である可能性は高いと言えるでしょう。
「採択率」と「報酬額」は全く関連性がないかというと、実はそうではないと考えています。
なぜなら、専門家・コンサルタントの「報酬額」は、その作業に投入した作業量とイコールの場合が多いから。
つまり、報酬額は作業の対価である以上、作業量が多ければ多いほど報酬額は高くなるというのが原則です。
と書いてしまうと、安い専門家は、申請書を作る作業にかけるボリュームが少ないのか?という疑問が生じると思いますが、そう思われる場合が多いとは言えます。
あくまで当職の経験ですが、安い専門家で雑な仕事をしている者は多いです。
かといって、安い専門家だから採択率が低い、とはもちろん言えません。
作業効率を高め、短時間で採択率が高い申請書を作る工夫をしていることもあるでしょう。
ご参考までに当事務所を選ばれている事業者様はどのような理由でご依頼されるのかも書いておきます。
多いのは「採択率」と「信頼性」
同じ経営者層や交流会から消化いただく場合も多いので「信頼性」が決め手となっていることもあるでしょう。
「採択率」の高さから比較検討された上でご依頼される事業者も多いです。
逆に、「報酬額」のみでご依頼いただく事業者は少ないです。
理由はシンプル。金額だけで比較すると他の専門家より高額だから。
当事務所は着手金5万円(税別)、成功報酬7万円(税別)となっています。
価格設定については理由があります。
補助金申請代行の報酬額の内訳は?
ご依頼される事業者がもっとも気になるところでしょう。
当事務所のように、着手金プラス成功報酬タイプが一般的だと思いますが、完全成功報酬をウリにしている代行業者もおりますね。
補助金申請にかかわらず、専門家やコンサルタントの報酬額の根拠はほとんどが作業への対価です。
結果への対価、という場合ももちろんあります。
着手金は、申請書作成の作業に対する対価。成功報酬は採択という結果に対しての対価、という考え方も成り立ちますね。
当事務所の着手金プラス成功報酬、その報酬額は、採択レベルの申請書を作り上げる作業量の対価として設定しています。
特にインターネット検索の結果お問い合わせいただく事業者様に顕著ですが、報酬額の根拠を尋ねられることが多い。
インターネット検索では明確なものだけが比較対象となります。
金銭の価値は日本中一定ですので、報酬額はもっとも比較されやすい要素。
それでもご依頼いただける事業者様もおりますので、報酬設定は今年度の予算でも変更しません。
他の専門家・コンサルタントに補助金申請代行を依頼される際には、報酬額の根拠は?と確認されるのも良いと思います。
小規模事業者持続化補助金の概要に触れる前に長々と書きました。
その理由は補助金申請は審査試験であり、申請代行の専門家・コンサルタントの質が大切だからです。
さて、いよいよ小規模事業者持続化補助金の概要に入ってまいりましょう。
小規模事業者持続化補助金とは何か?
そもそも小規模事業者持続化補助金とは何でしょうか?
上席に決済を取るときに何と説明すれば良いでしょうか?
答えは公募要領に明記されています。
抜きだしてみましょう。
平成30年度補正予算公募要領24ページ。
大切な箇所は以下の記載です。
本補助金事業は、持続的な経営に向けた経営計画に基づく、小規模事業者の地道な販路開拓等の取り組み(例:新たな市場への参入に向けた売り方の工夫や新たな顧客層の獲得に向けた商品の改良・開発等)や、地道な販路開拓等とあわせて行う業務効率化(生産性向上)の取り組みを支援するため、それに要する経費の一部を補助するものです。
持続的な経営に向けた経営計画がまず必要ですね。
それに基づくと言っていますから。
補助金申請代行の専門家としては実はここに採択レベルの申請書を作り上げるポイントがあります。
小規模事業者持続化補助金の申請書には事業計画書を記載しなければなりませんが、その計画は持続的な経営を目指すものになっていますか?
持続的な経営計画に基づく取り組みを支援すると明記されている以上、それに沿った事業計画でなければなりません。
また、「地道な販路開拓等の取り組み」を支援すると言っています。
さらに、「地道な販路開拓等と合わせて行う業務効率化(生産性向上)の取り組みを支援すると言っています。
つまり、これらの事業者を国は小規模事業者持続化補助金で支援したいと考えています。
ということは、それに相応しくない事業者はこの小規模事業者持続化補助金では支援しない、と裏を返せば言っているのです。
小規模事業者持続化補助金で採択されたければ、地道な販路開拓やそれと合わせて行う業務効率化の取り組みを行うことが必要です。
なぜか?
それらの事業者を支援すると公募要領に明記されているから。
御社で作り上げる補助金申請書は、自社の取り組みがそれらに該当すると読み手に伝わるものになっていますでしょうか?
小規模事業者持続化補助金は持続的な経営計画に基づく、地道な販路開拓の取り組みを支援するもの
公募要領から確認してみます。平成30年度補正予算公募要領12ページです。
持続的な経営計画に基づく、という記載を裏付けるように補助金申請書には「経営計画」を記載する欄があります。
蒸気がまさにソレです。
項目の4には「経営方針・目標と今後のプラン」とあります。
この記載がまさに持続的な経営に直接関連する箇所です。
何度でも書きますが、この小規模事業者持続化補助金は、持続的な経営計画に基づき販路開拓等に取り組む事業者を支援する、と公募要領に書いてあります。
それ以外は支援の対象外とすら読めます。
であるならば、採択レベルの申請書とするには、申請する当社は持続的な経営計画があります、と審査する側に読み取ってもらう必要があります。
これは経営計画だけではありません。
補助事業計画書も同様です。
小規模事業者持続化補助金では、経営計画書と事業計画書の二つの事業計画書を作る必要がある
補助事業計画書とは聞きなれない用語が出てきました。
難しいことはありません。
補助金を活用する事業計画書だから補助事業計画書です。
「小規模事業者持続化補助金は持続的な経営計画に基づく、地道な販路開拓の取り組みを支援するもの」と先ほど書きました。
持続的な経営計画があるかどうかは、「経営計画書」に書きましょう。
そして、地道な販路開拓等の取り組みは何に書くかというと。
そう、補助事業計画書です。
それでは実際の補助事業計画書を公募要領で確認してみましょう。
補助事業計画書の項目2番「販路開拓等の取組内容」がまさにソレです。
地道な販路開拓等の取り組みをする事業者については、この小規模事業者持続化補助金で支援すると公募要領に書いてありました。
採択されたければ、補助事業計画書の項目2番「販路開拓等の取組内容」は審査員に伝わるような記載が必須なのです。
持続的な経営計画と、販路開拓等の取組内容は審査員に伝わる記載が求められる。なぜか?
補助金は審査試験だと当初から書いておりますが、その根拠は公募要領50ページに書かれています。
補助金の採択審査は、提出資料について、「表1:審査の観点」(P.51)に基づき、有識者等により構成される審査委員会において行います。
「採択審査」というのは採択されるかどうかの審査という意味。
その審査は審査の観点に基づく、審査委員会において行われると明記されています。
補助金申請で事業者を採択するかどうかは審査委員会の審査なのです。
ということは。
その審査委員会、もしくはその構成員である審査委員に、申請する事業者が小規模事業者持続化補助金の目的にかなった事業者であり、かつ、小規模事業者持続化補助金の目的にかなった事業に取り組むという、この二点を理解してもらう必要があるのです。
なぜか?
採択されるために他なりません。
審査員に伝わる書き方とは?
補助金申請書だけではなく、およそ読み手に伝える書面、例えば「企画書」「プレゼン資料」「報告書」などで効果を発揮する鉄則です。
鉄則、などと書くと特別なことかと思われるかもしれませんが、全くそのようなことはありません。
私たちが学校で習い、オトナになってからは意識して使うことが無くなっているもの。
英語の授業のときにやりましたよね?
5W1H
When(いつ) Where(どこで) Who(誰が) What(何を) Why(なぜ)How(どのように)
分かりやすい記事として私たちが思い浮かべるものにニュース報道があります。
新聞記事、テレビのニュースで事の是非ではなく事実関係が分かりにく記事はありません。
なぜなら、このルールが守られているから。
行政書士阿部総合事務所として独立当初、地域にオリジナルのニュースレターを配布していたことがあります。
分かりやすい文章とは?
伝えたいことが読み手に伝わるようにすればどう書けば良いのか?
考えたところ、答えは意外にシンプル。
いつどこで誰が何をどのように。。。
最低限、それを書いてから初めてブラッシュアップを始めればよいのです。
補助金申請書の中にある、「経営計画書」「補助事業計画書」にも全く同じことが言えます。
補助金申請書では常に読み手を意識しなければならない
前段の内容で「読み手」という言葉を二度使いました。
補助金申請書だけではなく、およそ読み手に伝える書面、例えば「企画書」「プレゼン資料」「報告書」などで効果を発揮する鉄則です。
伝えたいことが読み手に伝わるようにすればどう書けば良いのか?
およそ、あらゆる書面には読み手が存在する。
企画書を読むのは誰ですか?
企画を実行する権限を持っている者に対して決済を取るためですよね。
提案書を読むのは誰ですか?
取引先の担当者の場合もありますよね。
出版企画書を読むのは誰ですか?
出版社の編集担当などですよね?
では、補助金申請書の経営計画書・補助事業計画書を読むのは誰ですか?
そう!、審査員です。
自分が言いたいことを書きなぐるのが書類の目的ではありません。
伝えたいことを読み手に伝えることが目的です。
補助金申請を検討している事業者様に多いのですが、「書類にするのは苦手だけれども話せば理解してくれる」と仰られる経営者様。
その気持ちはよく分かります。
ですが、小規模事業者持続化補助金では原則ヒアリング審査がありません。
全て書面で相手に伝えなければならないのです。
誰に?
補助金の審査員に、です。
何を?
申請する企業は小規模事業者持続化補助金の目的・趣旨にかなった企業であることを、です。
どうやって?
5W1Hを使って分かりやすく。
ここまで(小規模事業者持続化補助金の概要)のまとめ
これまでに皆さんに理解して頂いたのは以下のことです。
小規模事業者持続化補助金には経営計画書と補助事業計画書の二種類の事業計画書がある。
それらは読み手である審査員に分かりやすく書かなければならない。
なぜなら補助金は審査試験だから。
さて次からは公募要領を題材にしながらポイントをチェックしていきます。
小規模事業者持続化補助金の公募要領の扉のページは熟読しなければ採択は無い
上から順番に確認していきましょう。
「募集期間」「申請書類の提出先」は読んで確認して頂ければ問題ないでしょう。
当日消印有効であることや、郵送等により提出、というあたりが注意点です。
その下の)(ご注意・ご連絡)からは大切なことが記載されています。
最初の♢には商工会議所管轄と商工会管轄の2パターンが存在するのでその事業者に合った公募要領を確認しましょう、と言っています。
このような申請に慣れていない事業者はそもそも商工会議所と商工会の二つの団体があることさえ初耳でしょう。そい
次の♢で書かれているように、小規模事業者持続化補助金では商工会議所や商工会が発行する書面が申請には必須の書類になります。
その時点で管轄違いは発覚するはずですが、それまでの申請書作成に投入した時間が無駄にならないように、小規模事業者持続化補助金に取り組む前提として自社の管轄が商工会議所なのか商工会なのかは必ず確認しましょう。
そして、商工会議所や商工会が発行する書面が必要なのですが、その書面は原則すぐには発行されません。
なので、公募要領にも「1週間前までにはお越しください」と書いてあるわけです。
締め切り間際に初めて相談に出向いたところ、書面の発行を謝絶されたという事業者も現実に存在します。
なるべく早めに相談に出向きましょう。
公募要領の扉のページの最後の♢には、事業者からよく質問を受ける内容が書かれていますのでそのまま抜き出してみます。政府(中小企業庁)によれば、一部の認定経営革新等支援機関や補助金申請のコンサルティングを行う事業
者が、補助金への応募を代行すると称し、作業等にかかる費用等と乖離した成功報酬等の費用を中小企業・小規模事業者等に請求する事例が行政当局に報告されているとのことです。
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者自らが自社の経営を見つめ直し、経営計画を作成した上で行う販路開拓の取組を支援するものです。外部のアドバイスを受けること自体は問題有りませんが、上記主旨に沿わない申請は採択の対象となりませんのでご注意ください。なお、成功報酬等と称される費用、申請書作成セミナーと称される費用や補助金申請等にかかる経費に関しては補助対象外です。
補助金申請代行の「業者」の中には法外な報酬や費用を請求する者もいるので注意しましょう。といった注意喚起ですね。
さらに次の記述。誤解されている事業者も多いのですが、補助金申請書作成に際して外部のアドバイスを受けること自体は問題ないと明記されています。
外部のアドバイスを受けると申請が出来ないと誤解している事業者も多いところです。
最後の記述もご質問がとても多い。
補助金申請代行の専門家に支払う報酬や費用そのものを、その補助金で賄うことは可能か?というとそれは出来ませんという回答です。
補助対象外となっていますからね。
小規模事業者持続化補助金申請代行のご依頼や相談予約はこちらのフォームからご連絡ください。
行政書士阿部総合事務所行政書士阿部隆昭