行政書士業務でいえば、定款認証をはじめ、遺言書作成など様々な業務で公証人役場と関わりを持ちます。
当職の場合には、修業時代にお世話になった公証人の先生に長年お世話になり、何かというときにはその先生にお願いしてきました。
かなりの遠方まで、遺言書の立ち合いに出向いてくださったことも。
付き合いが長かったので、ざっくばらんな話をすることももちろんあって。
その中で、
「良い公証人の先生ってどうやって探したらいいんですか?」
と質問をしたことがあります。
もちろん、「良い」の意味合いの問題もありますが、公証人の先生になっているぐらいですので、知見についてはどの先生も「良い」になるはずなので、依頼人や専門職との”相性”といった感じでしょうか。
その公証人の先生の回答は、それらを踏まえたうえで、
「一つには、出身などから得意分野を聞いてみることかなあ」、と。
そもそも公証人という法律家の属性も知らない人も結構いらっしゃいますよね。
一回きりの依頼であれば知る必要もないでしょうが、継続的に関わる私たちのような専門職であれば理解しておきたいところ。
私がお世話になっていた先生は、元ある裁判所の裁判官だった方。
特に、家事事件についての知見が深く、法令はもちろん、実務上の取り扱いなど現場実務にも精通していた方でした。
様々な関連業務で関係性を結ぶうちに、当職にとって「良い公証人」先生となっていったような気がします。
ですので、良い公証人を探すには、業務で深い関わりを持ち、業務の属性としても関連性があることが必要になるのかも知れません。
最も鮮烈な思い出は、遺言公正証書作成の場面で証人として出向いたとき、遺言者の方は、「遺言はしません!」と宣言したときでした。
公証人、私たち証人も初めてのことにかなりの衝撃でした。
そんな先生も退官後、どうやら亡くなったらしいことを別の専門職から聞きおよび、本当に残念です。
行政書士阿部隆昭