1. 多くの企業が誤解する「採択後」の世界
補助金支援をしていると、必ずと言っていいほど聞かれる言葉があります。
「採択されたら、あとは設備を導入して実績報告すれば終わりですよね?」
──残念ながら、これは大きな誤解。
省力化補助金に限らず、「ものづくり補助金」・「持続化補助金」等でも共通していますが、本当の難所は、採択されたあとに始まる“交付後の運用”です。
企業がつまずくポイントは、不正ではありません。
- 証憑の不整合
- 保存ルールの理解不足
- 報告の遅延
- 設備管理のルール未整備
- 書類紛失
- 支払い方法の誤り
これらの “管理不足” が原因で、交付取消・返還が生まれています。
今回のテーマは、
✔ 「報告義務」
✔ 「証拠書類の5年保存」
✔ 「現地調査が入ることがある」
✔ 「会計検査院による実地検査」

これらを 企業が正しく理解できるように整理した解説 です。
2. 補助金は「採択=ゴール」ではなく「採択=スタート」
補助金は“税金”です。
だからこそ、国は以下の三点を絶対に確認したいと考えています。
① 設備が導入された事実
② 支払いが行われた事実
③ 申請書どおりの事業に使われた事実
省力化補助金は金額が大きく、機器・システム・工事など実体確認が必要な要素が多い。
そのため、補助金交付後の管理が非常に重視されています。
3. まず確認すべきは「証拠書類の5年保存義務」
公募要領では、はっきりこう書かれています。
補助事業に関する証拠書類は、補助事業完了年度の終了後5年間保存すること。
✔ ここで言う証拠書類とは、領収書だけではありません。
- 見積書
- 契約書
- 注文書
- 納品書・検収書
- 請求書
- 振込記録(通帳)
- 仕訳帳・総勘定元帳
- 設置状況の写真
- 工事工程の資料
- システム導入記録
補助金で求められているのは、
“紙1枚ではなく、流れ全体の整合性”
です。
見積 → 契約 → 発注 → 請求 → 支払 → 領収 → 会計処理
これが一直線に一致している必要があります。
4. 事務局から求められたら「速やかに報告」しなければならない
公募要領には次の文言もあります。
要求があった場合は、速やかに遂行状況報告書を提出すること。
“速やかに”という表現は曖昧ですが、補助金の世界では 即レス文化 です。
- メールに気づかず放置
- 担当者不在のまま期限切れ
- 書類が揃わなくて遅延
これらは全て 「管理能力不足」 とみなされます。
悪意があると判断されるわけではありませんが、現地調査の対象になりやすくなるのは事実 です。
5. 企業がもっとも誤解する「現地調査」の真実
中小機構および事務局が現地調査に入ることがあります。
ここで大切なのは、この2点です。
✔ ① 現地調査は“義務”ではない
✔ ② 全ての企業に入るわけではない
ただし、
設備投資の金額・内容・書類の整合性によって、調査が入る可能性が高くなる
のも事実。
🔍 現地調査で確認されるのは主にココです
- 設備が本当に存在するか
- 稼働しているか
- 申請した機種と一致するか
- 設備の設置場所が申請内容と同じか
- 見積書・請求書・通帳の金額が一致しているか
設備が見当たらない、場所が違う、書類に矛盾──
これらは「処分制限違反」や「実態不一致」と判断されます。
ポイントは、
✔ “来る・来ない”ではなく
✔ “来ても困らない状態”にしておくこと
これが補助金後半戦の必須リスク管理です。
6. 会計検査院の実地検査「が入ることもある」
公募要領にはさらにこうあります。
補助事業終了後に会計検査院が立入検査に入ることがあります。
これも誤解されがちですが、
- 全社対象ではない
- 定期検査ではない
- 抜き打ちではあるが、論点が明確
会計検査院は、国の監査機関です。
調査対象は一部に限られますが、調査に入った際のチェックは非常に詳細です。
✔ 書類の整合性
✔ 稟議(意思決定)過程
✔ 事務局への報告内容との一致
✔ 設備の存在・稼働実態
✔ 税務申告と補助金処理の整合性
7. なぜここまで厳しくするのか?
理由は明確です。
✔ 補助金=税金である
✔ 高額設備が対象で、不正が起きる余地がある
✔ 「実態が伴う使い方」を担保しなければならない
省力化補助金は金額が大きいため、国が「後から確認できる状態」を求めるのは当然です。
しかし、企業側の“悪気ゼロの管理不足”で指摘されてしまうケースが多数あります。
8. 企業がやらかしやすい“悪意ゼロの違反例”
実務で非常に多いのはこのあたりです。
● 書類が担当者のPCにだけ保存されており、退職で紛失
→ 保存義務違反
● 工事の支払が現金で一部行われ、証憑が消えた
→ 経理の透明性がなくアウト
● 設備の納品日が書類と現物で微妙にズレている
→ 現地調査で矛盾となる
● システム導入の証憑が委託先にしかなく提出できない
→ 実態確認不可
● 移転の際に設備を勝手に動かした
→ 目的外使用になり得る
誰も悪くありません。
ただ、補助金は“管理の世界”なのです。
9. 行政書士阿部総合事務所 として、「採択後の伴走」が最も価値を生む理由
申請書を書くことより、実は 採択後の管理こそ企業が困っている部分 です。
行政書士阿部総合事務所では、
- 見積 → 契約 → 請求 → 支払 → 会計の“整合性監査”
- 証憑(書類全部)の保存ルール作成
- 現地調査が来ても困らない体制整備
まで “採択後を視野に入れた体制構築” をサポート。
返還になるリスクをゼロに近づける“運用”の設計こそ、専門家の価値です。
10. まとめ ─ “知らなかった”では守れないのが採択後の世界
今日のポイントは以下です。
- 現地調査は義務ではない
- 全社に入るわけでもない
- しかし“入ることがある”ため、整合性が極めて重要
- 書類・証憑は5年保存が絶対条件
- 会計検査院の調査が入る可能性もある
- 事故の原因は悪意ではなく管理不足
- 適切な運用のためには専門家の伴走が有効
補助金は、採択された後にこそ“真の成功とリスク”が生まれます。
省力化補助金・ものづくり補助金などの採択後の運用に不安のある企業様、これから申請を検討している企業様は、
行政書士阿部総合事務所へご相談ください。
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