

【22次ものづくり補助金】「補助対象外となる事業」を知らずに計画すると危険な理由
- ものづくり補助金で「そもそも対象外」とされる事業タイプの整理
- 「設備は立派なのに、事業としてNG」と判断される典型パターン
- 採択後に取り消しや返還リスクを招かないためのチェック視点
ものづくり補助金の相談を受けていると、
「その計画、書き方以前に“事業そのもの”が対象外ギリギリでは?」というケースに出会うことがあります。
多くの事業者さんは、
「どこまでが経費の対象になるか」「人件費は出るのか」など、“経費の対象外”には敏感です。
しかし、その前段として、「事業そのものが補助対象外になってしまうライン」は、意外と見落とされがちです。
この記事では、ものづくり補助金(22次公募を想定)の公募要領に記載されている内容を踏まえつつ、
行政書士阿部隆昭の実務経験から、「補助対象外となる事業」の考え方を整理してお伝えします。
1.なぜ「補助対象外となる事業」を先に確認すべきか
ものづくり補助金は、「設備を買うための補助金」というイメージが先行しがちですが、
実際には、「どんな事業のために、どの設備を入れるのか」が問われます。
つまり、いくら魅力的な設備であっても、
その使い方・事業の組み立て方によっては、「そもそも補助の趣旨に合わない=補助対象外」と判断される可能性があります。
「どの設備を買うか」より前に、
「その事業は、補助金の目的にきちんと沿っているか?」を確認する。 ここを誤ると、書き方を工夫しても採択に届かない、もしくは採択後にトラブルになります。
2.公募要領に書かれている「補助対象外となる事業」の典型パターン
公募要領には、「補助対象外となる事業」として、代表的に次のようなものが挙げられています。 ここでは、中小企業の目線で噛み砕いて整理します。
(1)補助金の目的にそぐわない事業
ものづくり補助金の目的は、ざっくり言うと
「革新的な設備投資による生産性向上・付加価値向上」です。
- 設備投資が単なる「維持・更新」にとどまっている
- 売上・粗利の伸びや業務プロセスの改善がほとんど見込めない
- 既存事業とほぼ変わらず、新規性・成長性が薄い
このような場合、形式的には条件を満たしていても、
目的に照らして「優先して支援すべき事業ではない」と判断される可能性があります。
(2)主たる課題の解決を「他社丸投げ」する事業
公募要領では、
「本事業の主たる課題の解決そのものを他者へ外注・委託する事業」は、補助対象外とされます。
- 自社はほとんど何もせず、外部業者に全部任せてしまう
- 自社の新しい技術・プロセスが育たず、「設備だけが増える」状態
ものづくり補助金は、
「自社の中に新しい能力・仕組みを育てる投資」を後押しする制度です。
「企画だけ自社、実務はほぼ全部他社」という計画は、要注意です。
(3)実質的に労働を伴わない・資産運用的な事業
よく例示されるのが、「コインパーキングの運営」のようなケースです。
機械装置を購入するだけで、労働や技術の要素がほとんどなく、
「資産運用に近い性格が強い事業」は補助対象外とされます。
似たような発想で、 「自動販売機を置くだけ」「レンタルスペースを貸すだけ」なども、 内容によっては資産運用寄りと見なされる可能性があります。
(4)自社で使わず、第三者に長期貸与する事業
購入した設備を、
自社の事業に使わずに、特定の第三者に長期間貸す・リースするだけの事業も、対象外です。
「うちでは使わないけど、あの会社に貸せば儲かるから」という発想は、 ものづくり補助金の主旨とは合いません。
(5)従業員の解雇ありきで要件を達成する事業
補助金の目的は、
「合理化=首切り」ではなく、「生産性向上と働き方の改善」です。
- 人を減らすこと自体を主要な目的とした計画
- 解雇を前提に「人件費が減ります」とだけ説明する計画
このような事業は、公募要領上も対象外とされています。
人員構成の見直しは議論の余地がありますが、
「人を育てながら生産性を上げる」方向性が求められます。
(6)法令違反・公序良俗に反する事業・風営法対象事業など
ここはイメージしやすいと思いますが、 法令違反またはその恐れのある事業、公序良俗に反する事業は対象外です。
また、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(いわゆる「風営法」)の対象となる事業も、基本的に補助対象外とされています。
3.グレーゾーンになりやすい3つのケース
実務で相談が多いのは、 「明らかなNGではないが、書き方や設計次第でアウト寄りになる」グレーゾーンです。
ケース1:ほぼ外注だけで完結するDX・システム導入
自社の業務プロセス改善のためのシステム導入は、本来は十分に対象になり得ます。 しかし、
- 要件定義も運用も、ほとんど外部ベンダー任せ
- 自社の「ノウハウ」「知見」があまり計画に反映されていない
という状態だと、
「主たる課題解決を他社丸投げ」と見られかねない危険があります。
ケース2:投資の多くが“空間貸し”的なビジネスに偏っている
レンタルスペース、シェアオフィス、民泊施設などは、 事業内容によっては十分対象となり得ますが、 「場所を貸すだけ」で終わっている計画は要注意です。
空間の運用にどれだけ自社の付加価値(サービス・運営ノウハウ・独自性)が乗るか、 ここを明確にしないと、資産運用型の匂いが強くなります。
ケース3:人員削減と設備投資がセットで語られる計画
「この設備を入れれば、〇人分の仕事を〇人に削減できます」 という表現は、一見すると効率化の説明になっていますが、 「解雇ありき」の印象を与えやすい書き方です。
現実には人の配置転換、教育、より高付加価値業務へのシフトなど、
「人をどう活かすか」のストーリーをセットで語る必要があります。
4.採択後に苦しむパターン ─ 実現性のない計画の末路
もう一つ、忘れてはいけないのが、
「採択された後に苦しくなる計画」です。
公募要領では、
補助事業実施期限までに交付申請・実績報告が行われない場合は、採択取消しや交付決定取消しとなる旨が明記されています。
また、計画どおりに進んでいない場合は、遅延理由や実施可能性の確認が行われることもあります。
つまり、
「とりあえず採択されればOK」ではなく、
「計画どおりにやり切れるか」が最後まで問われるということです。
・実務を他社任せにしているため、スケジュールが少し遅れただけで全体が崩れる
・そもそも自社の体制・人員では、計画した投資を回しきれない
・採択後に「実は事業として微妙だった」と気づき、手戻りや見直しが発生
こうしたケースでは、
事業そのものの設計が甘かったために、後から多大な事務・調整リソースを取られることになります。
結果的に、現場は疲弊し、補助金どころではなくなってしまいます。
5.申請前にできる5つのセルフチェック
最後に、申請前に確認しておきたいポイントを5つにまとめます。
-
この事業は、本当に「生産性・付加価値の向上」に直結しているか?
─ 維持・更新のための投資になっていないか、もう一度見直す。 -
主たる課題を、自社でちゃんと握れているか?
─ ベンダー任せにせず、自社の言葉で「課題→解決策→成果」が説明できるか。 -
「資産運用ビジネス」に近づいていないか?
─ 労働・技術・サービスの要素が薄く、置くだけ・貸すだけになっていないか。 -
人員構成の変化を、どう丁寧に描いているか?
─ 解雇前提ではなく、「人を活かす」ストーリーがあるか。 -
採択後も、スケジュールどおり完走できる現実的な計画か?
─ 忙しい現場の中で、本当にやり切れるかを冷静に見積もっているか。
「とりあえず申請してみよう」ではなく、
「申請する価値のある事業かどうか」を確認してから動くことが、 結果的に、時間も労力も無駄にしない近道になります。
6.次の一手:補助金ドクター診断で「事業そのもの」を一緒に点検する
ここまで読んで、
「うちの計画、対象外寄りになっていないだろうか…」
と不安になった方もいるかもしれません。
行政書士阿部総合事務所が提供する補助金ドクター診断では、
単なる「書き方の添削」ではなく、
事業の中身そのものが補助金の趣旨に沿っているかを一緒に確認するところからサポートします。
- 事業の目的と、ものづくり補助金の目的が噛み合っているか
- 「他社丸投げ」や「資産運用寄り」になっていないか
- 採択後も現実的に完走できる計画になっているか
これらを整理したうえで、 必要であれば別の補助金・別のタイミングを検討する判断も含めて、 冷静にプランニングしていくことができます。
📱LINE公式登録: https://lin.ee/qVUvXWg
🧠 補助金ドクター診断:https://x.gd/hms4m
✉️ お問い合わせフォーム:https://x.gd/YCfIO
申請のタイミングや、他の制度との比較も含めて、
「今、どの一手を打つのが最善か」を一緒に整理していきましょう。
補助金ドクター診断 (powered by LDAM)とは?
AI × 行政書士で、御社に合う補助金の方向性と 「返還リスクを下げるには何に気をつけるべきか」を整理してお届けします。
診断に必要な入力項目はたった3つ、所要時間は約3分です。
-
本当に無料ですか?
はい。補助金ドクター診断は完全無料でご利用いただけます。診断結果レポートの作成を含め、料金が発生することはありません。 -
診断後にしつこい営業連絡は来ませんか?
追加の営業や勧誘は一切行いませんのでご安心ください。必要だと感じていただいた方だけが、別途ご相談いただけるスタイルです。 -
入力した情報は安全ですか?
いただいたデータは匿名化したうえで AI が分析し、個人名や企業名が特定されるかたちでは利用しません。第三者への提供も行いません。 -
この診断を受けるメリットは何ですか?
「補助金がある/ない」ではなく、御社の経営課題や今後の方向性を可視化することで、補助金活用だけにとどまらない 経営改善のヒントを整理できます。


