公証人役場で作成される遺言のことを公正証書遺言ということは、私のブログを読んで頂いている方でしたらご存知かなと思います。
私の18年に及ぶ実務経験と知識にもとづいて日々ブログを書いていますので、読んでいるだけでも相続や遺言に詳しくなれるとおもいますよ。
少なくとも、お友達に聞かれたときにザックリとでも答えられるレベルにはなれると思います。
本題に移る前に、豆知識を一つ。
「公証役場」と私たち専門職も言ったりしますが、正確には、「公証人役場」というのが正解です。
根拠は公証人法施行規則
第二条 公証人は、その役場に、公証人某役場と記載した表札を掲げなければならない。
「某」の部分には、公証人の氏名が入ります。
公証役場に実際に足を運んでみると書かれている看板を確認することができますよ。
さて、絶大な信頼感のある公正証書遺言なのですが、一体いつまで保管してくれる?とお客様から聞かれることがあります。
こちらも公証人法施行規則に規定がありまして、その期間は20年!
第二十七条 公証人は、書類及び帳簿を、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に掲げる期間保存しなければならない。ただし、履行につき確定期限のある債務又は存続期間の定めのある権利義務に関する法律行為につき作成した証書の原本については、その期限の到来又はその期間の満了の翌年から十年を経過したときは、この限りでない。
一 証書の原本、証書原簿、公証人の保存する私署証書及び定款、認証簿(第三号に掲げるものを除く。)、信託表示簿 二十年
二 拒絶証書謄本綴込帳、抵当証券支払拒絶証明書謄本綴込帳、送達関係書類綴込帳 十年
三 私署証書(公証人の保存する私署証書を除く。)の認証のみにつき調製した認証簿、確定日付簿、第二十五条第二項の書類、計算簿 七年
2 前項の書類の保存期間は、証書原簿、認証簿、信託表示簿、確定日附簿及び計算簿については、当該帳簿に最終の記載をした翌年から、拒絶証書謄本綴込帳、抵当証券支払拒絶証明書謄本綴込帳及び送達関係書類綴込帳については、当該帳簿に最終のつづり込みをした翌年から、その他の書類については、当該年度の翌年から、起算する。
3 第一項の書類は、保存期間の満了した後でも特別の事由により保存の必要があるときは、その事由のある間保存しなければならない。
例えば、遺言者が60歳のときに公正証書遺言を残したとしても、20年後は80歳
80歳といったら、まだまだ若いですよね。
画一的に、「20年たったから遺言書は破棄します」
このような取扱ではせっかく公正証書遺言をなした意味がない事態も起こりえます。
80歳になっても存命だったなら、遺言書は捨てられてしまうって不合理過ぎます。
だからこそ、多くの公証人役場では、特別の事由により保存の必要があるとき、という3項の規定を適用し、長期にわたって保存しているのが通例です。
ある公証人に聞いたところでは、遺言者が120歳になるまで保管していると。
これから公正証書遺言を作る方は、自分の遺言書が何歳まで保管されるのかを念のため公証人に確認してみると良いでしょうね。
そして、保存期間を相続人に伝えることもしておいたほうがよいでしょう。