【超簡単家族信託】WEB講座シリーズ6回目の今回は、「遺言代用信託」と「死因贈与契約」の比較です。
前回の第5回では遺言代用信託と遺言との比較をしたのですが、言葉は似ているけれども似ている要素はあまりないというのが結論になりました。
今回は、死因贈与契約。
先ずは死因贈与契約の説明からしてみましょう。
専門職の中でも知らない方がいるぐらい珍しい契約が死因贈与契約。
私もこの業界に18年ほどおりますが、5件程度しか取り組んだことがありません。
死因贈与契約は、文字通り、死んだことを原因として贈与の効力が発生する贈与契約のことです。
契約の内容はとてもシンプルです。
財産を譲る人と、貰う人との二人が無償で財産をあげる・もらうの約束をします。
これが通常の贈与契約。
死因贈与契約も、そこまでは同じです。
ただ、贈与の効果が発生するときが、贈与者、財産をあげる人が死亡したときにする契約が死因贈与契約なのです。
贈与契約は、契約のときに効力が発生
死因贈与契約は、贈与者が死亡したときに効力が発生
死因贈与契約は、贈与をする人が死んだときに財産の承継が起きる仕組みです。
その性質が実は遺言代用信託にそっくりなのです。
遺言代用信託は、委託者(兼当初受益者)が死亡したときに受益者が次の受益者に交代し、信託はそのまま継続する仕組み。
死因贈与契約も遺言代用信託も、財産権を持っている人が死んだことにより財産権の承継が起こります。
遺言も死んだときに財産承継が起きるから同じではないの?
という疑問があると思います。
しかし、死因贈与契約と遺言代用信託、遺言との間には決定的な違いがありまして。
死因贈与契約も遺言代用信託も、当事者が生きているときから財産管理や承継の仕組みを動かすことができるのです。
例えば、不動産を死因贈与契約によって贈与をすることで、不動産登記簿に贈与で移転する旨の仮登記を受けることが出来ます。
不動産を信託財産とする遺言代用信託をすることで、不動産登記簿にその旨を登記することができます。
しかし、
不動産を相続人の誰かに相続させる遺言を書いたとしても、遺言をした人が生きている時点では、不動産登記簿にその旨の登記をすることができないのです。
万が一、遺言書を隠されてしまったとしたら。
万が一、遺言書どおりに執行してくれなかったとしたら。
遺言をした人の意思が無視される可能性があります。
確実な財産承継という点からみると、不安が残るのは事実。
その点、死因贈与契約も遺言代用信託も登記簿に公示されていますので、贈与者が死んでしまったときには仮登記の本登記を申請することで完全な所有権を手に入れる事が出来ますし、委託者(兼当初受益者)が死んだときにも信託契約にしたがって受益者の変更登記をすることで登記上も受益者の変更を公示することができる。
【超簡単家族信託】WEB講座シリーズ6回目のまとめ
遺言代用信託と死因贈与契約は構造がとても良く似ている。
確実な財産承継を第一に考えるのであれば、死因贈与契約や遺言代用信託が優れている
次回、【超簡単家族信託】WEB講座シリーズ7回目は、「なぜ家族信託が注目を浴びているのか?」、について考えてみましょう。