「守秘義務があるから安心してください」
と、私たちのような専門職はよく言うことがあります。
そもそも、依頼者の秘密を守るってどういうことなのでしょうか?
家族の財産のことや、実は再婚していて前妻との間に子がいること、あまり他人には言えない諸々の事情を他人である専門職に話しても大丈夫なのでしょうか?
行政書士の場合は、行政書士法に根拠があります。
(秘密を守る義務)
行政書士法第十二条行政書士は、正当な理由がなく、その業務上取り扱つた事項について知り得た秘密を漏らしてはならない。行政書士でなくなつた後も、また同様とする。
この行政書士法第12条がいわゆる守秘義務と言われるものです。
行政書士でなくなった後にも制限がかかるので、業務上知り得た秘密については以後ずっと行政書士の胸の中に収められるわけです。
といっても、制裁規定がないのでは、意味がありません。
行政書士法第22条です。
行政書士法第二十二条
第十二条又は第十九条の三の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
2 前項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
懲役刑まであるのです。
ということは、懲役刑を課せられてまで守秘義務違反をする人はおりませんので、結果、守秘義務は守られるということになります。
「まあ、専門家なのだから秘密は守ってくれるんでしょう」
という一般の方が抱く期待感は、実は、制裁規定もある法律上の義務として保証されているのです。
もう一つ言いますと、
”懲役刑になっては堪らん”
ということで行政書士は秘密を守っているわけではなく、もっと大きな視点の「誠実義務」があるから秘密を漏らさないんですね。
(行政書士の責務)
第十条 行政書士は、誠実にその業務を行なうとともに、行政書士の信用又は品位を害するような行為をしてはならない。
もしも、皆さんが専門職に業務を依頼することになったときは、こういった法律上の守秘義務が課せられていますので隠し事などせずに安心して相談してくださいませ。
行政書士阿部総合事務所
行政書士阿部隆昭