【超簡単家族信託】WEB講座シリーズも早いもので第10回目です。
今回は、「親なき後問題」対策としての「自己信託」の活用方法について書いてみます。
ちょうど良い機会ですので、なぜ私が「家族信託」に関する連続WEB講座を書いているかと言いますと。
高齢者問題対策や、親なき後問題対策として、遺言、保険、贈与など従来の方法を組み合わせるよりも、信託を活用したほうがより良い解決策を執ることが出来るから。
こうした問題に悩む方は、インターネットや役所の無料相談や、関連団体の講演会など様々な機会を利用して情報収集をされています。
その中で、「信託」や「家族信託」という用語を耳にする機会もあり、自分の家庭にも利用できるのかしら??と調べることもあると思うのですね。
そのときに、家族信託の基本が書かれているようなWEBサイトがあればいいだろうなあ、と思ったのがこの講座を始めたキッカケです。
今回のテーマである「親なき後問題」についても、家族信託スキームを利用することで効果的な対策を執ることが可能になります。
前回に少しだけ触れた、「自己信託」(自益信託)とは、委託者自らが受託者となる特殊な信託。
信託法の改正で明文化されました。
この自己信託を利用すると、どうして親なき後問題が解決出来るのでしょうか?
精神障がい者であるお子さんを持つご家族を前提としてみます。
「お子さんのための将来の生活資金を早期に確保したい」、という親御さんの気持ちに応える仕組みが求められます。
まず考えるのは、親御さんの財産を「贈与」する方法
親の財産を、子どもに対して贈与しても、お子さん自身で財産の管理や保全を図ることが出来ないでしょう。
結果、お子さん自身のために財産を使うことも出来ず、詐欺に遭って財産を失ったりする危険もあります。
この場合に、「自己信託」を使うことが考えられます。
委託者である親御さんが、自らを受託者として自己信託をするのです。
受益者は、お子さん。
信託の目的は、お子さんの養育のため。
この信託宣言によって信託された財産は、親御さん自身の財産から離れ、信託目的に従った管理処分がなされます。
ということは、今までどおりのお子さんの世話を継続しつつも、例えば親御さん自身に破産等があった場合でも、信託の「倒産隔離機構」によって受益者であるお子さんのための資産は確保されるのです。
親なき後問題対策としての信託の活用は、自己信託だけではありませんのでまた別の機会に詳述したいと思います。
【超簡単家族信託】WEB講座シリーズ10回目のまとめ
精神障がい者の親なき後問題対策として自己信託を活用すれば、お子さんのための財産を早期に確保することが出来る。
次回、【超簡単家族信託】WEB講座シリーズ11回目は、「他益信託」(たえきしんたく)と「自益信託」との違いを明らかにしましょう。
それでは!
行政書士阿部総合事務所
行政書士阿部隆昭