【超簡単家族信託】WEB講座シリーズ12回めのテーマは、家族信託における受託者の義務について触れてみましょう。
このWEB講座シリーズを何度か読んで頂い方は、もう言えると思うんです。
信託の三人の当事者は誰ですか?
もう、大丈夫ですよね。
しつこいぐらいに書きますけど、
委託者が、任せる人
受託者が、任せられる人
受益者が、信託の利益を受ける人
でしたよね。
あのですね、これが分かっているってとても大切なんですよ。
どうしてかといいますと、民法上(これは信託法上のことですけれど)、三人の当事者が登場してくる分野って分かりますか?
代理なんですね。
民法を条文通りに勉強してくると、最初に脱落してくる人が現れるのは代理なんです。
売主・買主、貸主・借主といったように二当事者の関係ってとてもわかり易いですよね。
対立するベクトルだけのハナシなのです。
でもですね、代理関係になると、本人、本人の代理人、相手方、といったように三者の関係になります。
二者の関係が三者になると、途端に法律関係が難しくなるんです。
代理とは違うシステムですが、信託も原則三人の当事者が登場します。
だから、一見、難しく感じるわけです。
しかし、このシリーズをお読み頂いている方には、信託法上の三者の関係がスラスラ言えると思います。
知っていると、いつか役に立ちますから。
例えば、あなたのおばあちゃまから聞かれたとしますよ。
「ねえ、◯◯、銀行行ったらさ、遺言信託っていうの勧められたんだけど、どう思う??」
なんてこと聞かれてもですね。
信託銀行の遺言信託なんて全然怖くないです。
パンフレットを見ると、委託者や、受託者といった用語が登場します。
でも、知ってますよね、もう。
委託者の役割も、受託者の、受益者のそれも。
一見、難しそうなパンフレットでも、読み解いて軽く説明することが出来ますでしょ。
さて、今日のテーマがその受託者の役割なんですが、おおよそ見当がつくと思います。
財産の管理や処分を任されているわけですよね。
任されているのだから、その任されたことを実行するのが受託者の義務になります。
これが信託の法律上で定められた義務になると、こういった表現になります。
(受託者の注意義務)
信託法第二十九条受託者は、信託の本旨に従い、信託事務を処理しなければならない。
2 受託者は、信託事務を処理するに当たっては、善良な管理者の注意をもって、これをしなければならない。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる注意をもって、これをするものとする。
(忠実義務)
信託法第三十条受託者は、受益者のため忠実に信託事務の処理その他の行為をしなければならない。
信託の本旨っていうのは、契約などで定められた信託の目的に沿って事務処理しないとダメですよと。
忠実にとか、善良な管理者の注意義務でとか、信託事務をテキトーに処理してはダメですよと法律は言っています。
委託者の大切な財産の管理や処分を任されている立場の人なので、法律がしっかりと見張っているわけです。
信託法という信託を取り仕切っている法律の中でも第三章がほぼ受託者の義務とか責任を定めていることから、如何に受託者が悪いことをしないかどうかに気を配っているかがわかると思います。
【超簡単家族信託】WEB講座シリー12回目のまとめ
受託者は、財産の管理や処分を任される人として様々な義務や責任が課されている。
次回、【超簡単家族信託】WEB講座シリーズ13回目は、その「受託者」が死んでしまったどうなるのでしょうか?
考えてみましょう。