新もの補助金の設備・システム・建物等について見積もりを取得するとき、「50万円以上なら3社見積」と聞いたことがある方も多いでしょう。
ただし、判定基準は設備1台の価格ではありません。第1回公募要領1.1版は、契約・発注先1件当たりの見積額合計が50万円(税抜き)以上の場合、3者以上の同一条件による見積もりが必要と定めています。
まずは1分の動画で、判定単位と見積取得の注意点をご確認ください。
結論:発注先1件の合計が税抜50万円以上なら3者見積
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の第1回公募要領1.1版50ページは、交付申請時の価格の妥当性について、次のように定めています。
- 可能な範囲で複数の見積もりを取得する
- その中で最低価格を提示した者を選定する
- 契約・発注先1件当たりの見積額合計が50万円(税抜き)以上なら、3者以上の同一条件による見積もりを取得する
「1品50万円」「1つの経費区分で50万円」ではなく、同じ契約・発注先から取得する見積額の合計で判断する点が重要です。
判定方法を具体例で確認
| 見積内容 | 同じ発注先の合計 | 3者見積 |
|---|---|---|
| 機械本体40万円+設置費15万円 | 55万円(税抜き) | 必要 |
| 機械本体45万円のみ | 45万円(税抜き) | 50万円基準には未到達 |
| 機械本体48万円+送料3万円 | 51万円(税抜き) | 必要 |
50万円未満であれば、公募要領上の「3者以上」という明示的な基準には達しません。ただし、公募要領は、交付申請時に可能な範囲で複数の見積もりを取得し、価格の妥当性を確認することを求めています。
「同一条件」で比較するとは
公募要領は「同一条件」としていますが、比較項目を限定列挙していません。実務上は、少なくとも次の条件が揃っているかを確認します。
- 機械・システムの型番、仕様、性能
- 数量、単位、構成品
- 送料、運搬費、据付費、設置費の有無
- 保守、設定、研修等の付帯作業
- 納期、支払条件、保証条件
例えば、一方は設置費込み、もう一方は設置費別という見積書を単純に金額だけで比較しても、同一条件による比較とは言いにくくなります。各社へ同じ仕様書や見積依頼書を渡し、比較条件を揃えておくことが大切です。
最低価格の発注先を選定する
公募要領は、経済性の観点から、取得した見積もりの中で最低価格を提示した者を選定するよう求めています。
価格の高い発注先を選びたい事情があっても、「品質がよさそう」「付き合いが長い」といった抽象的な説明だけで進めるのは危険です。第1回公募要領1.1版及び2026年7月19日時点の公式FAQには、最低価格以外の事業者を選べる一般的な例外や必要書類が示されていません。自己判断で契約せず、最新資料と事務局案内を確認してください。
3者に数えられない見積先
3通の見積書があればよいわけではありません。次のような見積もりは、公募要領上、認められません。
- ペーパーカンパニーや販売実績が全くない業者等
- 金融機関確認書を発行した金融機関
- 事業計画作成支援者
- 上記の金融機関・支援者と「みなし同一事業者」に当たる事業者
- 対象経費を販売・施工するために必要な許可を持たない業者
特に建物費では、建設業許可が必要な規模であるにもかかわらず、許可を持たない業者から取得した見積もりは認められません。公募要領は、発覚した場合、虚偽の内容を含む申請として不採択又は交付決定取消となるとしています。
海外企業への発注でも相見積もりが必要
公式FAQ Q26は、海外の事業者へ発注する場合にも相見積もりが必要としています。交付申請時に海外企業の見積書を提出する際は、日本語訳の提出も求められます。
外貨建ての見積書については、FAQ Q33が、申請時には見積書の発行日(見積取得日)の公表仲値を用いて円換算し、使用した年月日と金融機関名を明示するよう求めています。
見積取得は応募準備の段階から始める
3者見積は交付申請時の資料ですが、公募要領は、申請準備段階であらかじめ複数者から見積もりを取得することを勧めています。
- 導入する設備・システム・工事の仕様を固める
- 同じ見積条件を3者以上に提示する
- 発注先ごとに税抜見積額を合計する
- 販売実績、必要な許可、支援者との関係を確認する
- 交付決定後の納期と実施工程を確認する
なお、見積取得は先に進められますが、契約・発注は交付決定後です。交付決定前に契約・発注した経費は補助対象になりません。
よくある質問
税込50万円以上なら3者見積が必要ですか
基準は税込金額ではなく、税抜50万円以上です。見積書の税抜金額を確認してください。
同じ会社から複数の設備を購入する場合は個別に判定しますか
公募要領は「契約・発注先1件当たりの見積額の合計」で判定します。同じ発注先の見積項目を個別に50万円未満へ分けて判断しないよう注意してください。
1社しか取り扱えない設備なら理由書で代替できますか
第1回公募要領1.1版及び2026年7月19日時点の公式FAQには、理由書により3者見積を省略できる一般的な例外は確認できません。最新の応募申請ガイド、補助事業の手引き、FAQ及び事務局案内を確認してください。
50万円未満なら見積書は不要ですか
50万円未満は、公募要領上の「3者以上」という明示的な基準には達しません。しかし、価格の妥当性を確認できる資料は必要です。公募要領も、可能な範囲で複数の見積もりを取得するよう求めています。
行政書士阿部総合事務所の申請前整理
行政書士阿部総合事務所では、新もの補助金を検討する事業者に対し、申請枠、対象経費、見積条件、資金計画、交付決定後の実行手順を一体で整理しています。
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本記事は2026年7月19日時点の第1回公募要領1.1版及び公式FAQに基づく一般的な解説です。申請時は、必ず最新の公募要領、応募申請ガイド、補助事業の手引き、FAQ及び事務局案内をご確認ください。


