新もの補助金で採択通知が届いた後、設備会社から「納期を確保するため、先に発注しませんか」と提案されることがあります。しかし、採択通知と交付決定は別です。交付決定前に契約・発注した経費は、補助対象になりません。
まずは1分の動画で、採択後に発注を待つべき理由をご確認ください。
結論:準備は進める、契約・発注は待つ
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の第1回公募要領1.1版は、交付決定日より前に、補助事業に係る製品購入や役務提供の契約(発注を含む)等をした経費は補助対象にならないとしています。
一方、申請準備段階で複数者から見積もりを取得することは、公募要領でも勧められています。したがって実務上の整理は、次のとおりです。
- 仕様、見積、資金、納期の確認は先に進める
- 補助事業の契約・発注は交付決定後に行う
- 交付決定後すぐ動ける状態まで準備しておく
採択通知と交付決定は何が違うのか
採択は、補助金交付候補者に選ばれた段階です。公募要領は、採択結果が事業計画に記載した全経費・金額の交付決定を保証するものではないと明記しています。
採択後に交付申請を行い、事務局が対象経費や金額を精査します。その後に交付決定を受けて、補助事業を開始する流れです。
| 段階 | 意味 | 契約・発注 |
|---|---|---|
| 採択 | 補助金交付候補者に選ばれた段階 | まだ行わない |
| 交付申請 | 経費・金額の精査を受ける段階 | まだ行わない |
| 交付決定 | 補助事業を開始できる段階 | 決定日以後に行う |
交付決定前に発注するとどうなるか
公募要領51ページの「事前着手の禁止」では、交付決定前に契約・発注した経費は補助対象にならないとされています。
ここで正確に押さえたいのは、交付決定前に発注したその経費が対象外になるという点です。一つの経費を先に発注しただけで、申請全体が直ちに取り消されるとまでは公募要領に書かれていません。
ただし、対象外になった経費が枠ごとの必須経費である場合や、補助金額が補助下限を下回る場合などは、計画全体に大きな影響が及ぶ可能性があります。大型の設備投資ほど、発注前の確認が重要です。
「仮発注」「仮押さえ」なら問題ないのか
公募要領は、「仮発注」という名称の扱いを個別に定義していません。したがって、呼び方だけで問題ないとは判断できません。
注文書の発行、申込、内金の支払い、キャンセル条件などを含め、実質的に契約・発注に当たる内容かを確認する必要があります。設備会社から納期確保を求められた場合は、交付決定前に拘束力のある合意をしない形で、どこまで準備できるかを詰めてください。
交付決定前に進めてよい準備
発注を待つことは、何もしないことではありません。公募要領50ページは、申請準備段階で複数者から見積もりを取得すると、速やかに補助事業を開始できるとしています。
- 導入する設備・システムの仕様を固める
- 同一条件で複数見積もりを取得する
- 自己資金と借入れを含む資金計画を確認する
- 交付決定後の納期と工程を販売事業者と調整する
- 交付申請に必要な資料を整理する
特に、契約先1件当たりの見積額合計が50万円(税抜き)以上の場合は、原則として3者以上の同一条件による見積もりが必要です。採択発表後に慌てないよう、応募申請の準備段階から取得を進めることが有効です。
交付決定後も実施期間に注意
交付決定を受けた後は、契約・発注だけで終わりではありません。公募要領51ページは、補助事業実施期間内に、次の手続きをすべて完了する必要があるとしています。
- 契約・発注
- 納入
- 検収
- 支払い
- 補助事業実績報告書の提出
納期が長い設備では、交付決定前に見積と納期を確認しながらも、契約・発注日は交付決定後にするという線引きが欠かせません。
よくある質問
採択通知が届いた日に注文書を出してもよいですか
交付決定前であれば、注文書の発行は避けてください。採択通知と交付決定は別です。
見積書を取るだけなら問題ありませんか
見積取得は、公募要領でも申請準備段階に行うことが勧められています。ただし、見積取得と同時に申込や内金支払いなどを行う場合は、契約・発注に当たらないかを確認してください。
交付決定前に支払わなければ大丈夫ですか
いいえ。公募要領は支払い日だけでなく、交付決定前の契約・発注を対象外としています。支払いが交付決定後でも、契約・発注が交付決定前なら対象外となる点に注意が必要です。
行政書士阿部総合事務所の申請前整理
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本記事は2026年7月19日時点の第1回公募要領1.1版に基づく一般的な解説です。申請・契約・発注時は、必ず最新の公募要領、補助事業の手引き、事務局案内をご確認ください。
公式資料:資料ダウンロードページ/第1回公募要領1.1版


