承継・引継ぎ|資金と契約
制度情報の確認日:2026年10月24日

資金・購入条件・人員・契約・証拠を確かめる手順と、特定の制度例を分けて解説します。制度名・数値・日程がある箇所は確認日付きの例です。実際に利用する年度・公募回の最新条件を公式サイトで確認してください。
目次|気になるところから読む
病院を一から開く代わりに、診療設備やスタッフ、地域との関係を引き継ぐ。承継開業を考えるとき、「買収に補助金が使える」と聞いて、譲渡代金全体へ補助が出ると思っていないでしょうか。
病院を買う対価、仲介等の専門家費用、引継ぎ後の設備投資、運転資金は、分けて資金を考えます。さらに、費用の種類が合っていても、買い手本人の事業歴や承継の形によって申請できない場合があります。
最初に分ける5つの支出
以下は資金計画を考えるための仮の金額です。税・手数料等をすべて含む総見積ではなく、実際の取引事例でもありません。
| 支出例 | 仮の金額 | 補助金を考える際の入口 |
|---|---|---|
| 株式・事業の譲渡対価 | 2,000万円 | 本記事の各枠の対象経費として一括計上しない。自己資金・融資等を別に検討 |
| 仲介・FAへの報酬 | 200万円 | 専門家活用枠の候補。登録、契約内容、時期等を確認 |
| 財務・法務等の調査(DD) | 80万円 | 専門家活用枠の候補。業務・依頼先・取引の要件を確認 |
| 引継ぎ後の設備・システム投資 | 600万円 | 承継の形と投資目的により、事業承継促進枠やPMI推進枠等を検討 |
| 診療継続の運転資金 | 300万円 | 給与・薬剤等を一般的な運転資金として一括補助申請しない。自己資金・融資等を検討 |
| 合計 | 3,180万円 | 費用ごとの候補であって、全額が対象になるという意味ではない |
譲渡対価の中に機器の評価額が含まれていても、それを別の「新品機器の購入費」と同じ扱いで申請することはできません。何を取得し、誰へ、何の契約に基づいて支払うかを確かめます。専門家活用枠の対象経費は、謝金・旅費・外注費・委託費等として定められています。専門家活用枠16次公募要領p.18〜20
初めて病院を買う人は、買い手の要件を先に確認する
同専門家活用枠では、個人事業主は開業届・青色申告承認申請書の提出から5年経過、法人は申請時点で設立登記と3期分の決算・申告が完了していることなどが定められています。勤務獣医師が初めて独立するケースや、買収用に新設した会社が、買い手として当然に申請できるわけではありません。同公募要領p.6
売り手が対象となるかは、売り手側の要件と負担する経費によって別に確認します。「買い手が使えないから売り手に請求を付け替える」といった処理はせず、実際の契約・負担に沿って検討してください。
また、FA・仲介の報酬には、M&A支援機関登録制度に登録された事業者による支援であること等の条件があります。DDのみの依頼と、実質的に仲介等を含む契約でも取扱いが違います。なお、行政書士に補助金申請の作成を委任する費用は、同公募要領で対象外とされています。当事務所への申請支援費も、自動的に補助されるという案内はしません。同公募要領p.63〜64
親族・従業員への引継ぎと、第三者への売買を分ける
| 予定する引継ぎ | 検討の入口 | 重要な確認 |
|---|---|---|
| 子や院内の従業員へ引き継ぐ | 事業承継促進枠 | 後継者の経験・関係、承継予定、経営権と所有権の移転等 |
| 第三者から病院を買う・第三者へ売る | 専門家活用枠 | 買い手・売り手の適格性、専門家契約とM&Aの工程 |
| 第三者承継後、業務統合のために投資する | PMI推進枠・事業統合投資類型 | M&Aと投資の要件、統合効果、申請・契約時点 |
事業承継促進枠の16次では、対象となる後継者や承継時期が定められ、単なる代表者名の変更では足りません。認定経営革新等支援機関による、承継の蓋然性の確認も必要です。事業承継促進枠16次公募要領p.12〜13
PMI推進枠の事業統合投資類型も、譲り受けた後に機器を買えばよい制度ではありません。統合による非効率の解消等を目的とする投資かを確かめます。同類型と専門家活用枠の買い手支援類型は、同じ公募回での申請ができません。事業統合投資類型16次公募要領p.6・10〜14
「まだお金を払っていない」だけでは間に合わない
専門家活用枠では、対象となる専門家の契約、基本合意・最終契約、報酬の支払を、所定の補助事業期間と照合します。16次の補助事業期間は2027年1月下旬予定から14か月以内と想定されています。今月の締切までに申請できても、すでに締結した仲介契約等を遡って対象にできるとは限りません。専門家活用枠16次公募要領p.18〜19
一方、PMIの事業統合投資類型には、公募申請時点の基本合意、交付申請時点の最終契約といった別の時点要件があります。どの枠も「補助金が決まるまでM&Aの契約は全部止める」という共通ルールではありません。まず枠を特定し、仲介契約・譲渡契約・設備発注のそれぞれを工程表へ置きます。
- 誰から誰へ、株式か事業か、何を引き継ぐかを確認する。
- 申請者候補の事業歴と、使う枠を確認する。
- 費用ごとに支払者・依頼先・契約予定日・支払予定日を並べる。
- 補助対象期間と照合し、締結前に必要な確認を済ませる。
- 対象外費用と入金までの立替を、自己資金・融資等で賄えるか確認する。
前の院長が補助金で買った機器も、引継ぎ前に調べる
取得財産の管理台帳や、過去の交付決定通知があれば確認します。補助金で取得した財産の譲渡・用途変更等には、事前承認や返納が関係することがあります。株式譲渡と機器そのものの売買、個人事業からの事業譲渡では手続も同じとは限りません。元の制度の事務局へ確認し、仲介者・税理士・弁護士等とも役割を分けます。省力化一般型でも、承継・事業主体の変更や財産処分について別の資料が公開されています。公式資料一覧
契約を進める前に、補助金と資金の順番を確かめたい方へ
行政書士阿部総合事務所の行政書士・阿部隆昭が、承継の概要と費用明細、契約予定を確認し、どの費用にどの枠の検討余地があり、どの契約の前に何を確認するかを示します。申請支援が可能な範囲を明確にし、対象外費用も含めて院長が準備を進められるよう支援します。
M&A仲介、企業価値算定、財務・法務・税務DDをまとめて代行するものではありません。まずは親族・従業員・第三者のどの承継か、買い手の現在の事業形態、契約済みか、引継ぎ希望時期をお知らせください。機密資料の共有方法、対応範囲・費用は確認後にご案内します。



