認知症と運転 検査の厳格化は必要だが
認知症対策が社会全体の課題となる中で、高齢者を交通事故の被害者にも加害者にもしない取り組みが求められている。
認知症が疑われる場合でも、実際に免許の停止や取り消しになる人はかなり限られているのが実情だ。
検査の厳格化は、どちらかというと高齢者を加害者にしない取り組み。
現状では認知症が疑われる状態でも、そのまま運転をし続けているケースが多いということなのでしょう。
心身の衰えを自ら簡単に認めたくないという心理は根強いものがある。生活や仕事に車が欠かせないという切迫した事情もあるだろう。
確かに、そういった事情もあるでしょう。
生活に必要であったり、車でなければ出来ない仕事であったり。
どうしたらいいんだろう。
ちょっと前に、運転免許証の更新をしてきました。
警察署の講習で受けたビデオに登場していたのは、実際にお子さんを事故でなくされた会社員の男性。
講習のビデオとはいえ、観ていて涙が出てきました。
自分がいくら気をつけていても完全に防げるわけではないのが交通事故
ましてや、認知症などによって判断能力が失われつつある状態だとしたら。。。
普段、当たり前のように運転していますが、瞬間瞬間で複雑な判断を高速で処理しなければならないのが「運転」だと思います。
運転に求められる「判断」の項目の数やスピードが衰えているのだとしたら、事故を起こす確率といったものは急カーブで上がるんじゃないだろうか。
死亡事故総数は昨年まで14年連続で減っているのに、75歳以上が起こした割合はこの10年で倍増している。75歳以上では人口当たりの死亡事故件数が75歳未満の2・5倍にも及ぶ。高速道路の逆走など認知機能低下が原因とみられる事故も増えている。
もしも、身の回りで認知機能の低下が原因で何かあったとしたら、”なんでもっと早く対策をしてくれなかったのか”と思ってしまうでしょう。
これだけデータが出ているのに。
特典を設けて高齢者に免許返上を促す自治体も増えてきた。
事故に引き起こすことによる人の死という事実から考えると、こういった「お願いベース」のことをやっている余裕はないんじゃないかと思う。
最も難しいのは、仕事で車を使っている高齢者のこと。
車を取り上げるということは、家計の収支に重大な影響を与えてしまう。
段階的にでも、特別事情のある方には、経済的に支援するといった施策も必要だと思う。
こういった社会問題の解決しようとすると、どうしても利害が対立してしまう。
認知機能の低下による交通事故の問題は、一方の利害が「人の死」である時点で最優先の課題。
2003年に約195万人だった75歳以上の免許保有者は18年に約530万人を突破すると推計されている。認知症対策が喫緊の課題であることは間違いない。
リンク先の記事にもあるように、生活に便利なように交通網を整備するといったことも必要。
でも、もっと重要なのは、生活に車を使っている高齢者に対する施策。
公平感を保ちながら、安心して生活できる暮らしを守るのは難しい。
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