今でも記憶に新しい、世間を騒がすことになった一連の高齢者問題。
受給者本人は死亡しているにも関わらず死亡届を提出せずに家族が年金を不正に受給していた問題。
これは逮捕者も出ましたよね。
また、日本では身元を証明する制度が確立していないために起きた高齢者所在不明問題。
既に死亡しているであろう年齢の高齢者が住民票上は生存していることになっている。
住民側から「届出」という行為をもってしか死亡の事実を行政が把握することが出来ない以上、制度上の欠陥ともいえるかもしれません。
そのような状況を踏まえて厚生労働省では、後期高齢者医療制度を利用して、
後期高齢者医療を1年間継続して利用していない76歳以上の年金受給者について、その現況を確認するため、平成22年11月に現況申告書を送付し、その結果、消息がわからない方等の年金の差止めを行ってきたところです。
75歳以上になって、一年間に一度も医者にかからないのは何かあるんじゃないだろうか?ということ。
<現況申告書の回答状況の概要>
・現況申告書の送付対象者 341,312人
・提出者 331,213人
うち年金受給者本人は既に死亡との回答があったのは、 2,239 人(*)
(*) 2,239人のうち2,171人については、別途、年金の死亡届等による通常の失権処理や支払いの差止処理が行われています。
うち年金受給者本人の消息を知らない・本人と連絡が取れないとの回答があったのは、577人
・未提出者 7,000人(注)
・未送達者 3,099人(注)
(注)市町村からの健在情報がない者(5,232人)について日本年金機構による訪問調査(4~7月)を実施し、健在かどうかを確認
調査の結果、受給者本人が死亡していたり、既に本人とは連絡が取れなくなっている人数が把握できたりと、それなりの実効性はあがってきています。
住民記録のある国民などに個別の番号が付されることによって、個人の特定が出来るようになるのがマイナンバー制度。
個別番号の利用目的は、社会保障、税、災害対策の三分野に限ると法律で制限されています。
平成27年10月から始まる「通知カード」を更に「個人番号カード」にすることによって身分証明書の代わりとしても使えるようになるのです。
お年寄りの中には、身分証明書として使いたいばかりに運転免許証を保有している方が多くいます。
実際に運転するわけでもないのに、期間制限のある身分証明書を持っているというのもある意味不合理。
今までの行政サービスでは実現することが難しかったより公平な社会の実現のためにはマイナンバー制度は必要不可欠であるといえるでしょう。
一方で、個人を識別できる符号があらゆる用途に拡大され、結果、国民の権利侵害になる事態にならないかは国民全員が目を光らせておく必要もあります。
プライバシー保護の視点も大切。
やみくもに否定するのではなく、より良い社会を目指すためにはどうあるべきか。