1.受入施設の経済的負担
2.国家試験の合格
3.日本の暮らしに馴染むかどうか
外国人介護人材を検討しているデイサービスや特別養護老人ホームから相談を頂くことも多いです。
現時点では日本人スタッフで有能な介護人材が集まらないので外国人はどうなのか?という視点なのですが、どうやら事業者様の多くの「EPA」という用語で止まってしまうようでした。
外国人介護福祉士や外国人看護師を雇用しようと思って調べると、この「EPA」という用語によく出くわします。
日本国内の医療法人、社会福祉法人等を対象に候補者のあっせん等の業務を行う日本の唯一の受入れ調整機関公益社団法人国際厚生事業団(JICWELS)のWEBサイトの記述によりますと、
日本とインドネシア、フィリピン及びベトナムとの間で締結された日尼経済連携協定(日尼EPA)、日比経済連携協定(日比EPA)及び日越交換公文(日越EPA)に基づくインドネシア人・フィリピン人・ベトナム人看護師・介護福祉士候補者の受入れが開始しました。インドネシアからの受入れは平成20年度、フィリピンからの受入れは平成21年度、ベトナムからの受入れは平成26年度からそれぞれ行っております。
公益社団法人国際厚生事業団(JICWELS)は、日本国内の医療法人、社会福祉法人等を対象に候補者のあっせん等の業務を行う日本の唯一の受入れ調整機関として、円滑かつ適正な受入れ業務や支援を厚生労働省等と連携しながら進めております。
EPAとは日本と諸外国との協定のことなのであまり意味はありません。外国人介護人材の受入を検討している介護施設としては、外国人の国籍としてインドネシア、フィリピン、ベトナムからしか今のところ介護職としては外国人を雇用できないことだけ知っておけば十分。
日本政府としては、「介護」という在留資格の導入をすることで決定はしているのですが、実施時期等は全て未定。なので、現状、EPAを活用しての外国人介護人材しか雇用できないのが現実なのです。
私たち申請取次行政書士としてもEPA看護・介護人材の受入れについての研鑽を深めています。
他の多くの在留資格と違って、外国人看護・介護人材を受け入れる日本国内の病院や施設が介護福祉士等の国家資格の取得に向けた研修を実施することが必要になります。また外国人本人の日本語修得の問題もあるでしょう。介護職として働くにはN1、N2のような高度な日本語ではなくN3程度の日本語力で問題ないという意見もあるようですが、高齢者と不自由なく意思疎通をするために最低限必要な日本語力という点でも議論が必要でしょう。
公益社団法人国際厚生事業団のWEBサイトに掲載されている、「特別養護老人ホームながまち荘」の事例報告を読み込んでみると、外国人看護・介護人材の受入れには3つの課題があることが分かります。
1.受入施設の経済的負担
2.国家試験の合格
3.日本の暮らしに馴染む
外国人が日本の暮らしに馴染むようにコミュニティを創りあげたり、賃貸住居や家財道具を施設負担で準備したりといったご苦労をされたようです。
外国人介護士の受入は、国際貢献・国際交流はもちろんであるが、国試合格を1つの目標に、外国人介護士の育成を図る過程において、「介護の質の向上」にも資する事業である。また、将来的には外国人のマンパワーが必要になると考え、2009年、2人の外国人介護士(インドネシア人介護士)の受入を行った。
国際交流や国際貢献だけではなく、育成過程を介護の質の向上にも役立つ事業だと捉えているからこそ、3つの課題解決をクリア出来たのでしょう。
近い将来、「介護ビザ」が正式に運用されるようになると多くの介護事業者や病院が外国人看護・介護人材の取得を検討されると考えられます。
いざそうなってから慌てないように、外国人看護・介護人材を雇用出来るのか出来ないのかも含めて検討しておくことが大切ですね。
行政書士阿部総合事務所 行政書士阿部隆昭