会社設立業務を行っているとよく聞かれるのが、「代表取締役は複数でも大丈夫なのか?ということ。
大丈夫かどうかでいえば、会社法上、代表取締役の人数制限がないので何人でも構いません。もちろん、代表取締役は取締役の上位の概念なので取締役の人数を超えることができないのはお分かりだと思います。
出資者が2人以上だとか、設立に向けて動いているメンバーが2人以上だとか、代表取締役を2人以上にしたいと思う理由はさまざま。
自分が代表権を持ちたいけれども、相手もかなり動いてもらったし、単なる取締役(俗に言う平取(ヒラの取締役))にするのは悪い。だから二人とも代表取締役でいいでしょ?!
と言われたことも実際にありますし、日本人らしいといえば日本人らしい考えなのかもしれません。
代表取締役を複数置くデメリットも一通りお伝えしたうえで、それでも代表取締役を複数にしたいという方には、会社の内部では序列を付けることも提案しています。
代表取締役会長、代表取締役副社長、代表取締役社長、もう日本の会社では一般的に見られるこれらの役所も一切登記上は区別がされません。すべて「代表取締役」になります。法人と取引しようと思った相手方は、まず登記簿謄本(今は履歴事項全部証明書」を見ますよね。役員構成は?、資本金は?、会社成立年月日は?といった重要事項は登記簿謄本で確認することが出来ます。そのときには、会長、副社長、社長といった文字が登場しないので、全員が代表取締役で並列になるのです。以前、ある一部上場企業の財務部門の担当者に聞いたことがあるのですが、「偉い順に上から並ぶように登記している」と仰っていて、なるほど!と思いました。
ただし、登記上は並列でも、WEBサイトの会社情報では自由に役職を付けることが可能です。
例えば、味の素株式会社の役員構成は以下のようになっています。
代表取締役会長1名、代表取締役社長1名、代表取締役副社長1名
登記簿上3名の代表取締役が登記されているが、誰が代表権を持っているかというと通常は社長職にある方なのでwebサイトを確認すれば分かるという具合です。
さまざまな事情により、どうしても複数の代表取締役を登記しなければならない場合にはWEBサイト上など対外的表記で序列をつけるという方法があります。
知っていればなんでもないことでも知らないと不安になってしまうことが会社設立の場面ではたくさん待ち構えています。”こうすれば良かった”と後悔するよりも、事前に調べたり、専門家に尋ねたりと方法はいくらでもありますので、自分の満足いくような会社を作って欲しいですね。
行政書士阿部総合事務所 行政書士阿部隆昭