昨日ブログに書いた特定贈与信託について、早速お客様から問い合わせがありました。
その際にもご説明したのですが、信託という仕組みはとてもわかりづらいものがあります。
昔、大東建託株式会社というアパート建築会社が俳優の津川雅彦さんを起用してコマーシャルをしていたのはご存知の方も多いと思います。
信じて託す
津川雅彦さんがコマーシャル中に言っていた言葉です。
大東建託さんのアパート建築システムが法律的な意味での信託を利用しているかはわかりません。
しかし、会社名に「託」という文字が入っているので「信じて託す」となったのでしょう。
この「信じて託す」がまさに信託の基本です。
「信じて託す」の言葉を解剖することで、信託の意味が見えてくるようですよ。
信託という仕組みには、三人の当事者が登場します。
「信じて」というからには、信じる人がおります。
そして、
「託す」ということなので、託す、任される人もいます。
さらに、
「信じて託す」には現れていませんが、利益を受ける人もいるのです。
信じる人(専門用語では委託者と言います。)
任される人(同じく受託者)
利益を受ける人(同じく受益者)
以上の三人が信託の当事者です。
三人とは書きましたが、信じる人と利益受ける人が同じ人になる場合もありますので、必ずしもABC三人ではなく、ABの二人だけで三当事者分の役割をすることがあります。
これが信託の基本であり原則なんです。
それほど難しくないですよね。
実は私たちが生活の中で知らず知らずのうちにしていることでもあるのです。
それを契約という仕組みにして法律のしばりをかけているだけ。
たとえば、人気テレビ番組の「はじめてのおつかい」
小さいお子さんに買い物をお願いし、無事買い物が出来るかどうかをテレビ局のスタッフが撮影したカメラを通して愉しむ番組
これも考えようによっては立派な信託です。
先ほどの「信じて託す」を使って考えてみます。
「信じる人」は、お母さん。(委託者はお母さん)
「任される人」が、子ども。(受託者はお母さん)
「利益を受ける人」は、お母さん。(受益者もお母さん)
お母さんは信じて子供に自分の財産を預け(←ここが大切。財産はあくまでお母さんのもの)、
任された子どもが買い物に行き(←信託の目的に従った行動)、
目的を達成してお母さんが喜ぶ(←利益を受ける人はお母さんでした)。
お母さんが子供にお母さんの財産を預けるのもポイントです。
子供に「お小遣い」としてお金をあげたのではありません。
託された子どもの手の中にお金はありますが、あくまでお金はお母さんのもの。
これが信託です。
任される人(はじめてのおつかいでいえば、子ども)の財産になるわけではないのです。
ただ、信託の目的にしたがって、運用などはできます。
お買い物という目的にしたがって、子どもが買い物をするのは信託の目的にかなった行動なので問題ないのです。
どうでしょうか?
初めてのおつかいから信託を考えてみましたが、わかりやすいと思いませんか?
難解な契約の一つされている信託も身近な問題に落としこむとなんてことないですよね。