法務省入国管理局が難民認定にかかる資料を公表しています。
難民認定申請を行った者(以下「申請者」という。)は7,586人であり,前年に比べ2,586人(約52%)増加
申請者の主な国籍は,ネパール1,768人,インドネシア969人,トルコ926人,ミャンマー 808人,ベトナム574人,スリランカ469人,フィリピン299人,パキスタン295人,バングラデシュ244人,インド229人難民の認定をしない処分に対して異議の申立てを行った者(以下「異議申立者」という。)は3,120人であり,前年に 比べ587人増加
異議申立者の国籍は52か国にわたり,主な国籍は,ネパール887人,トルコ462人,スリランカ309人,ベトナム 214人,ミャンマー198人,パキスタン151人,タイ126人,バングラデシュ117人,インド90人,フィリピン73人不認定者の国籍は50か国にわたり,主な国籍は,ネパール1,007人,トルコ468人,スリランカ312人,ベトナム251人,ミャンマー229人,インドネシア178人,パキスタン147人,タイ140人,バングラデシュ124人,インド84人
一部を抜き出してみます。ここでは詳しく検討しませんが、難民認定申請者の国、異議を申し立てている者の国籍、難民認定されなかった者の国籍は以上のとおりです。
行政書士阿部総合事務所では難民認定の申請はお受けしておりませんが、相談を受けることは少なくありません。
入国管理局への申請そのものは外国人本人がすることも多いらしく、また、外国人ご本人が申請する際には今回採り上げるような法務省資料を参考にするのではなく、外国人コミュニティーの中で友人知人から教えてもらうこともあるようです。
難民認定の認定率がなぜ低いのかという一因を資料から読み取ることが出来ますので、これから難民認定を申請しようと考えている方は参考にしてみてください。
先ほど載せた法務省のリンク先に以下のPDFファイルがあります。
(1)難民と認定した事例及びその判断のポイント (2)難民と認定しなかった事例及びその判断のポイント (3)人道配慮により在留許可を行った事例及びその判断のポイント
難民認定と判断したポイントが事例ごとに分けて書いてあるので一度全体を読んでみてください。
ほとんどの事例の判断ポイントとして同じ用語が使われているのが分かりましたでしょうか。
「本国情勢に係る客観的情報」
難民認定申請が認定されるか、不認定で終わるのかの判断のポイントは、本国情勢に係る客観的情報によって脅威などが認められるか、です。
もう一度言いますと、「客観的情報」です。
国が信頼を置いている「客観的情報」とは何でしょうか?ということです。
難民認定申請書には、外国人が受けているとされる迫害等の事情を書くことになるのですが、その迫害等の事情は、「本国情勢に係る客観的情報」に照らし合わせてどうなのでしょうか?
外国人ご本人がそう言っているだけで、客観的情報としては存在しないのでしょうか?
こちらの資料でもハッキリと書かれています。
2 難民該当性の判断
申請者が申し立てる「迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖」係る本人や関係者の供述や提出資料等の証拠を元に,不自然,不合理な点がなく一貫性があるか否か,出身国等に係る客観的情報と整合するか否か等の観点から信ぴょう性の評価を行った上で,その内容が難民条約上の難民の定義に該当するか否かの難民該当性を判断しています。
日本では難民を受入れていないはずなのに、難民がいるのはナゼ?
という疑問にもこちらのPDFのの「定義」を読めば今の日本の状況が分かります。
1 「難民」の定義
出入国管理及び難民認定法では,「難民」の定義について,「難民の地位に関する条約(以下「難民条約」という。)第1条の規定又は難民の地位に関する議定書(以下「議定書」という。)第1条の規定により難民条約の適用を受ける難民をいう。」と規定しています(入管法2条3号の2)。これら難民条約及び議定書上の難民(以下「難民条約上の難民」という。)の定義は,「人種,宗教,国籍若しくは特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために,国籍国の外にいる者であって,国籍国の保護を受けることができないもの又はそのような恐怖を有するために国籍国の保護を受けることを望まないもの,及び,常居所を有していた国の外にいる無国籍者であって,当該常居所を有していた国に帰ることができないもの又はそのような恐怖を有するために当該常居所を有していた国に帰ることを望まないもの」となっています。
難民認定申請件数に比較して極端に低い認定数。
これより先はあえて言及しませんが、これが日本の難民認定申請の状況です。
創業支援と資金調達に強い野獣系行政書士阿部隆昭