この本はとても難しい。
エッセイとして、”ナルホド!、こういうこともあるかもね!”っていう読み方が正しいのかな。
言わんとしていることはわかるんですが、頭に浮かんでいるイメージが整理しきれずに全部詰め込まれてしまった感じがします。
新書形式ではなくて、イラストや図形を多用してのムック本とかのほうがより伝わったのかもしれません。
言葉の音感を聞き取った私たちは、そこから様々なイメージを持ちます。
本書にも書かれいていますが、例えばブーバキキ効果。
名前だけは聞いたことがある方がいるかもしれません。
「ブーバ」から連想されるのは柔らかい印象
「キキ」からは、なんとなく堅いイメージが。
発音の体感は、本人が発音しなくても、ことばに触れるたびに、多かれ少なかれ、私たちの脳に想起されるものなのです。
他人が発する言葉を聞いたり、文字を読んだりするだけでも、そこにあるイメージとリンクされてしまう。
本書の特徴は、
日本語の音韻のうち、特に情感を漂わすものを選び、音韻の五感を一つ一つ明らかにして、それらが醸し出す日本語会話の情の文脈を紐解いてまいります。
となります。
「は行」の第一章、「や行」の第二章、といったように五十音の一部で章立てがされています。
言わんとしていることはなんとなく分かりますが、
既に決まっている言葉の意味付けに発音のイメージを適用するのが正直ちょっとわからない。
「ブーバ」や「キキ」ならわかりますよ。
その言葉から連想される意味はないので、イメージから入るのは。
でも、私たちが日常的に使っている言葉は既に意味があるわけで、「許す」という言葉が、「ゆ」から始まる受け入れる音だからとさ
れても、”なるほどね~”としかやっぱり思えませんでした。
章末に「美人のくちびる」というエッセイがあります。
そして、終章の「言葉は媚薬となりうるか」
この二つはおもしろいし、特に終章。
ここがもっとも書きたかった部分なのかもしれない。
受ける言葉のイメージがもっともいきいきと頭の中で反芻される場面。
ちょっと手ごわい本ではありましたが、読んで良かったとは思います。