ゴールデンウィーク初日の昨日、東京都台東区の上野公園で4組みの大道芸を見た。
それぞれ、東京都のヘブンアーティストとして認定されたプロフェッショナル。
広大な敷地をもつ上野公園では大型連休ということではなく普通の休日にでも大道芸を観ることができる。
地元に近いということもあって、上野公園での大道芸は数多く見てきた。
しかし、今日観た、いや観させてもらった大道芸にはちょっと自分でも意外なほど感動した。
というか、泣いた。
まず、4組みで「ほぼ」共通しているのは次の4つだった。
1.ラストパフォーマンス前には投げ銭のお願いがある。
2.大道芸一本で生活しているという言う。
3.5円、10円などの小銭はいらないと言う。
4.札というカタチで表してほしいと言う。
5.「オトナの人だったらわかるでしょ」と言う。
もろもろ事情があると思うので具体的なパフォーマーの方の名前は出さない。
「1」と「2」は以前からよく聞いていたが、「3」から「5」は最近になって、より耳にするようになったと思う。
あるパフォーマーのグループは、しきりに「5」を繰り返していた。
彼らは、さらに、自宅からの往復交通費を言い、マイナス◯◯円からのスタートという具体的な金額を言った。
世界大会に出るには◯◯万円かかるという具体的な金額を言った。
おそらく、ここまでになるのには相当のお金がかかり、ここに来るまでの費用もかかった。
これから活躍をするにもカネがかかる。
だから。。。。わかるでしょう?
オトナなら。
ということらしい。
言わんとしていることはものすごくわかるのだが、正直、あまり気持ちのいいものではない。
出そうとしている財布をバッグの奥にしまいこんでしまいそうだ。
そもそも、投げ銭の多い少ないって何が決めてになるのだろう。
そう思いながら歩いていると、時おり大歓声をあげる密になった集団を見つけた。
ちょうど上野動物園と上野駅公園口を結んだ通路のどまんなか、近くにはスタバもあり、ミニ遊園地もある。
場所的には最高。
そこでパフォーマンスをされていたのがこの人
jaggler Lady(ジャグラー ラビー)
観ながら、これだ!って思った。
さっきの疑問。
なんだ、こんなことだったのか。
マイクパフォーマンスで選ばれる言葉の一つひとつ
演技中の仕草、目線
そういったことの全てに、その人の誠実さといったものがどうしても出てしまう。
最後の最後には、それが投げ銭にあらわれてしまう。
なぜか?
気持ち良く払えるのか、払えないのか、それとも払わないのか。
多かれ少なかれ大道芸を観ている客の気持ちはこういったものだろう。
たまたま通りかかっただけ。
見たかったわけではない。
お金を払うだけの価値がない。
子どもが観たいっていうから仕方なくその場にいただけ。
今まで観た大道芸の中でもLadyさんのものはすごかった。
もっとすごかったのが、投げ銭の場面になったときだ。
なんだこりゃ。
はじめて見た、こんな光景。
なんというか、群がっていた。
その瞬間だけ観た人は、彼の帽子の中にあるカネを皆が一斉に奪いにかかっていると思うに違いない。
それだけ、皆が彼のパフォーマンスに対してカネという価値で感動を表したいということだった。
自分も払った。
というか、払いたかった。
たまたま通りかかって。
たまたま事情があってその場で足を止めた。
そこまでは、他の大道芸の方と同じ。
もちろん、ジャグリング国内チャンピオンの彼の演義は素晴らしいものだった。
それだけではない、何かがあったからこその最後のあの場面。
彼は、一通り投げ銭の「説明」をし終わった後、こう言った。
「それでは、最後までお楽しみください」と。
なんでもそうだと思うけど、気持ち良く終わりたいっていうのはある。
”いいもの観たなあ、うんうん”、っていうのと。
”まあ、すごかったし、払ったけど、ほんとに1000円の価値あったかなあ”
とは全く違う。
そこを分けるのは、そのパフォーマーの人間性なんだと分かった。