資金調達と外国人雇用に強い行政書士阿部総合事務所

認定経営革新等支援機関(中小企業庁)

【民泊の始め方】大注目の新ビジネス?!「住宅宿泊管理業」とは?|行政書士阿部総合事務所

July 31, 2017
3391 views
約 8 分

民泊新法と言われる「住宅宿泊事業法」施行に合わせて新しい職種が誕生しそうです。

「住宅宿泊管理業」

 

 

 

 

 

 

 

 

なんとなく名称から何をする業種なのか想像はつきそうですが、念のため、法律の条文に沿ってみてみましょう。

住宅宿泊管理業とは?

6 この法律において「住宅宿泊管理業」とは、住宅宿泊事業者から第十一条第一項の規定による委託を受けて、報酬を得て、住宅宿泊管理業務を行う事業をいう。

 

住宅宿泊管理業のポイントは3つですね。

1、住宅宿泊事業者からの委託があること。
2、委託される業務は住宅宿泊事業法11条1項の業務であること。
3、報酬を得ること。

 

住宅宿泊管理業が魅力的な新ビジネスとなるかどうか?
順番に確認していきましょう。

1、住宅宿泊事業者からの委託があること。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

実はこの「住宅宿泊事業者」というのも民泊新法で登場した新しい概念。法律に規定があります。

4 この法律において「住宅宿泊事業者」とは、次条第一項の届出をして住宅宿泊事業を営む者をいう。

現時点の民泊の状況でいいますと、いわゆる「民泊ホスト」とされる民泊物件の所有者又は賃借権者で物件を民泊として提供している者のこと。

民泊新法では、民泊ホストに変わる概念として、「住宅宿泊事業者」というものを作り出したのです。

この住宅宿泊事業者については、民泊新法によってもっとも影響がある部分ですのでまた項を改めて詳述します。

民泊ホストならぬ住宅宿泊事業者からの委託(委任)を受けて業をなすのが住宅宿泊管理業ということでした。ということは、住宅宿泊管理業者の顧客となるのは、次の二種類になります。

1、現在、民泊ホストとして民泊事業をしている方で民泊新法施行後、住宅宿泊事業者として登録された者。
2、民泊新法施行後、住宅宿泊事業者として新たに登録された者。

つまり何が言いたいのかというと、

どうせ民泊新法施行後に登場する職種なのだから、来春の民泊新法施行後に準備すればいい。

というわけでも必ずしもないということ。

民泊新法施行前に民泊ビジネスを始めたけれど管理がうまくいっていない、誰かにお任せしたい、収益をもっとあげたい、と現時点で考えている民泊ホストの方々も住宅宿泊管理業者の顧客となる可能性があります。

ということは、民泊新法施行を待たずして、住宅宿泊管理業者の管理に任せた方がメリットがあることを打ち出す施策は必要ということになりますよね。営業行為は何も悪いことでは決してありません。住宅宿泊管理業者の「価値」を知ってもらうためには営業行為はマストです。

 

2、委託される業務は住宅宿泊事業法11条1項の業務であること。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

住宅宿泊管理業の業務は法律で決まっています。

(住宅宿泊管理業務の委託)
第十一条 住宅宿泊事業者は、次の各号のいずれかに該当するときは、国土交通省令・厚生労働省令で定めるところにより、当該届出住宅に係る住宅宿泊管理業務を一の住宅宿泊管理業者に委託しなければならない。ただし、住宅宿泊事業者が住宅宿泊管理業者である場合において、当該住宅宿泊事業者が自ら当該届出住宅に係る住宅宿泊管理業務を行うときは、この限りでない。
一 届出住宅の居室の数が、一の住宅宿泊事業者が各居室に係る住宅宿泊管理業務の全部を行ったとしてもその適切な実施に支障を生ずるおそれがないものとして国土交通省令・厚生労働省令で定める居室の数を超えるとき。
二 届出住宅に人を宿泊させる間、不在(一時的なものとして国土交通省令・厚生労働省令で定めるものを除く。)となるとき(住宅宿泊事業者が自己の生活の本拠として使用する住宅と届出住宅との距離その他の事情を勘案し、住宅宿泊管理業務を住宅宿泊管理業者に委託しなくてもその適切な実施に支障を生ずるおそれがないと認められる場合として国土交通省令・厚生労働省令で定めるときを除く。)。

たくさん書いてありますが、大丈夫です。細かく丁寧に読んでいけば何の問題もありません。

法令を読むときの一つのポイントは、文末に注意すること。

住宅宿泊事業者は、次の各号のいずれかに該当するときは、国土交通省令・厚生労働省令で定めるところにより、当該届出住宅に係る住宅宿泊管理業務を一の住宅宿泊管理業者に委託しなければならない。

 

「委託しなければならない

しなければならない、ということは義務です。

権利や義務、といったときは、誰が権利を持っているのか?、誰が義務を負わされているのかもに注意してくださいね。

この場合は、住宅宿泊事業者が義務を負わされています。

住宅宿泊事業者は次の各号に該当するときは、住宅宿泊管理業者に委託しなければならない、ということは法律で決まっています。

”難しい業務をするときには、実際には自分たちで出来ないので事実上プロに任せなければやっていけない”

こういった状況はビジネスの世界ではよくありますでしょ?

事実上、実務上とかではなく、法律上の義務として定められているのがポイントです。

つまり、住宅宿泊管理業者にしてみれば、ある一定要件の民泊(住宅宿泊事業)の場合には必ず、住宅宿泊管理業への委託の道が確保されているのです。

これ、ビジネスの視点でいいますと、とても強力な営業ツールになります。

「事実上、民泊の管理は皆さんお任せ頂いています」

という営業行為をするのか?

「民泊新法の法律上の義務とされていますので、住宅宿泊管理業に委託しなければならないのです」

といった営業行為が可能になります。もちろん、民泊新法施行後すぐに住宅宿泊管理業は大量に登場する可能性がありますから、そこから先は自由競争の世界になります。ですが、”住宅宿泊管理業です”と自社で主張している業者ではなく、登録されている住宅宿泊管理業者に委託しなければならないというのは登録業者にとっては大きなメリット。”うちは登録事業者です”と言えますからね。

 

 

では、どのような業務であれば、住宅宿泊管理業者は法律的な義務の履行の行く末として、どのような状況であればお仕事が取れるのでしょうか?

・民泊として提供する数が一定数を超えるとき

一 届出住宅の居室の数が、一の住宅宿泊事業者が各居室に係る住宅宿泊管理業務の全部を行ったとしてもその適切な実施に支障を生ずるおそれがないものとして国土交通省令・厚生労働省令で定める居室の数を超えるとき。

 

一定数以上の部屋を貸し出す場合には、管理業務を住宅宿泊管理業者に委託しなければなりません。

 

 

・民泊ホストが物件に不在のとき

二 届出住宅に人を宿泊させる間、不在(一時的なものとして国土交通省令・厚生労働省令で定めるものを除く。)となるとき(住宅宿泊事業者が自己の生活の本拠として使用する住宅と届出住宅との距離その他の事情を勘案し、住宅宿泊管理業務を住宅宿泊管理業者に委託しなくてもその適切な実施に支障を生ずるおそれがないと認められる場合として国土交通省令・厚生労働省令で定めるときを除く。)。

 

複雑な条文の作り方になっていますが、現時点では無視してしまって構いません。人を民泊物件に宿泊させるときに民泊ホストの方が物件に居ない場合には、住宅宿泊管理業者に委託しなければならないかもしれませんよ、ということです。

 

そして最後。住宅宿泊管理業のポイントの三つ目は簡単です。

3、報酬を得ること。

 

 

 

無報酬ではなく、報酬を取って業として営むことです。

 

 

 

以上、現時点で分かっている情報を元に住宅宿泊管理業について解説してみました。

お気付きのように、最も大切な部分は、国土交通省令や厚生労働省令に委任されているのは注意してください。細かい要件が決まるのはまだまだこれからという状況です。

現時点で確認しておくべきことは、

1、住宅宿泊管理業という業が新たに出来ること。
2、住宅宿泊管理業を営むには登録が必要だということ。
3、一定の民泊については住宅宿泊管理業への委託が法律上必須であるということ。

以上だけ知っておき、国土交通省例や厚生労働省令を待つのが正しい対応だと考えます。

 

次回は民泊ホスト側の「住宅宿泊事業者」の要件をみてみます。

創業支援と資金調達に強い行政書士阿部隆昭

 

 

 

 

About The Author

行政書士行政書士阿部隆昭
創業支援と資金調達に強い東京都北区赤羽の行政書士阿部隆昭。
事業計画書作成支援、創業融資申請サポート、補助金助成金申請、契約書作成、ビザ申請など、中小企業支援業務をメインに業務を行なっています。
業務経験20年の知見をフル活用し、クライアント様の事業運営をサポートします。