さまざな場面で活用されている「信託」という制度。
昔、信じて託すといったテレビコマーシャルを流していたハウスメーカーもありました。
信じて託すの文字どおり、託す人と託される人がいるわけです、原則的には。
最近では自己信託というものがあるので、必ずしも当事者が二人以上といったこともなくなりました。
信託の使い方の一つとして生前贈与信託といった金融商品もあるようです。
生前贈与が利用されるのは、主に基礎控除を利用した節税メリット。
毎年110万円以内の贈与でしたら贈与税がかからないというもの。
この110万円の贈与をするにもちょっとした工夫が必要となる場合が多く、一般の方には難しい面もあるようです。
しっかりと基礎控除枠内の贈与をしたつもりが、国税から贈与を否定されたという事例も聞いたことがあります
そのような方向けに発売されていうのが暦年贈与信託。
元本保証、管理手数料無料。
銀行側はどこで儲けるのでしょうと一見思います。
「簡単」・「確実」・「便利」がキーワード。
贈与契約書の作成、受贈者への毎年の振込手続きなど生前贈与に必要な事務周りを一括してやってくれるので簡単確実便利なのでしょう。
私たちからすれば、贈与契約書を作って、毎年振込をすることなんて簡単に確実できますが、お年寄りにとっていたら面倒であることに違いない。
各種資料のPDFを見てみると、信託報酬として管理報酬は無料ですが、運用報酬が銀行側の手数料となるようです。
3月・9月の各25日および信託期間満了日に、金銭信託5年ものの運用収益から予定配当額
(予定配当率と信託金の元本により計算される額)等を差し引いた金額となります。
受託した金銭は、贈与のためだけに使われるだけではなく、5年ものの金銭信託として運用するようです。
そうなると気になるのが信託行為の目的。
何のために信託をするのかを判断するには、商品説明書などよりも信託目的を見たほうが間違いありません。
(定義)
信託法第二条 この法律において「信託」とは、次条各号に掲げる方法のいずれかにより、特定の者が一定の目的(専らその者の利益を図る目的を除く。同条において同じ。)に従い財産の管理又は処分及びその他の当該目的の達成のために必要な行為をすべきものとすることをいう。
詳細は信託契約書を見ないとわかりませんが、説明書がヒントはありました。
● 信託された金銭を、受益者のために利殖すること。
● 委託者(以下「贈与する方」といいます。)が、贈与を希望する場合、毎年その都度当社
に意思表示を行い、当社所定の書面(以下「依頼書」といいます。)で指定した者(特約
付き金銭信託[暦年贈与信託]約款(以下「約款」といいます。)に定める指定受益者を
いい、以下「贈与を受ける方」といいます。)に指定した金額の信託財産に係る受益権
を取得させる(お渡しする)こと。
金銭信託の目的の中に、「利殖」が入っているんですね。
利殖はしますが、元本は保証すると。
だから、安心して金銭を信託できるというロジックなのでしょう。
目的の二つ目が贈与信託にあたります。
指定受益者なんて言葉が登場してきますが、どうでしょう?。
この辺りの用語が出てきた時点で一般の方は理解を諦めると思います。
銀行にとっては、運用して信託報酬が取れる。
お客さんにとっては、毎年基礎控除枠内の贈与を間違いなくしてくれる。
双方にメリットがありそうな商品ではあります。
この金融商品がどうとかではありませんが、相続税の制度が大きく変わるこの時期はさまざまな勧誘があると思いますので注意して欲しいと覆いますね。