人は生きている限り、必ず、相続・遺言・遺産分割の場面に遭遇します。
遺言書を作成する人、遺産分割協議に参加する人、これらについては全員ではありません。
ですが、相続はすべての人について発生します。
相続は、その人の財産に属した一切の権利義務の承継が起きる場面です(民法第896条相続の一般的効力)。
財産の承継が起きる場合は、相続に限らず売買や贈与などと同様、紛争が生じやすい場面でもあります。
さて。
人はなぜ遺言を残すのでしょうか
人は、死亡や精神上の障がいにより自らの意思能力を喪失します。
当然ですが、死んでしまうと自分の意思を表すことが出来ません。
単なる家族に宛てた「手紙」ではありません。
遺言は法律が与えてくれた自らの意思表示として最後の手段です。
民法の定める方式に沿って作成されている限り、それは法律的な効力を持ち得ます。
財産の処分や、身分関係のことなど「遺言事項」とされている事柄については、遺言書として残すことが自身に残された最後の希望になることだってあります。
最後の希望としての遺言書が結果的に法律的な効力を生じなかったとしたら遺言者としては悔やみきれませんよね。
遺言書が無効になったとしても、それは本人は知ることがありません。
なぜなら、遺言の効力発生時期は、原則、遺言者の死亡の時とされているからです。
その裏返しで、民法は遺言書作成について厳格な要式性を求めています。
遺言書の有効・無効を問題にする時点では、既に本人がこの世に存在しない。
死んでしまったら全てが無に帰してしまうため、意思表示をする手段がないんです。当たり前ですが。
ですので、
『自分の死んだ後に無効にならないように』
とか
『最後の希望を上手に伝えられるように』
など、すべて含み置いた遺言書を作成しなければならないのです。
自分の最後の場面、書店にある「遺言書作成キット」を参考にされますか?
自分自身が納得できる遺言書を作りたい、そんなときは行政書士を上手に利用してください。
行政書士にできること
・相続が起きたときに、まず何をすればいいか。ご本人の置かれた状況を鑑みて広い視点で今後の指針を提示することができます。
・遺言書の作成について、自分自身で作成される場合にはそれに見合ったアドバイスを、公正証書で作成する場合には遺言書の案文の作成から完成までを公証人と一緒にお手伝いします。
・法律上の相続持分で承継が起きると困る場合には、事情を勘案した遺産分割協議を書面として作成します。