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『香典』は誰のものか?|行政書士阿部総合事務所

January 6, 2015
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約 5 分

葬儀の時にもらった香典は誰のものでしょうか?

喪主の自分が貰ってしまっていいんだろうかと思う方もいらっしゃるでしょう。

 

結論

香典は喪主あるいは遺族のものです。

 

根拠1

民法の大家である内田教授の「民法Ⅳ補訂版 第9刷 P374」によると。

香典 弔慰金

香典や弔慰金は、慣習上、喪主あるいは遺族への贈与であって、相続財産とはならないと解されている。

 

ここで大切なのは「相続財産とはならない」ということです。

相続財産(一般に言う「遺産」と同じ意味合いです)とならない以上、遺産分割協議書(遺産分けの話し合いのことです)の対象としなくても良いのです。

また、「遺族」とはどこまでの範囲が遺族に含まれるのかは微妙なところです。

 

 

もう一つ根拠をみてみます。

「家庭裁判所における遺産分割・遺留分の実務 初版 第2刷 p30」によると。

香典は、死者への弔慰、遺族へのなぐさめ、葬儀費用など遺族の経済的負担の軽減などを目的とする祭祀主宰者や遺族への贈与であるから、遺産分割の対象とはならない。

ただし、当事者全員の合意により、香典を考慮して調停を成立させることは可能である。

なお、香典は、慣習上香典返しに充てられる部分を控除した残余につき葬儀費用に充てられるが、なお残余金が生じた場合は葬儀主宰者に帰属すると解する見解と相続人に帰属するとの見解がある。

 

 

祭祀主宰者は多くの場合、喪主を務めるかたと同じなので先程の「民法Ⅳ」の結論とほぼ同じです。

 

 

ここで気になるのが「贈与」という言葉

香典をもらった喪主には贈与税がかかるのでしょうか?

国税庁のWEBサイトをみてみます。

 

贈与税の対象とならない弔慰金等

贈与税の対象とならない弔慰金等|所得税目次一覧|国税庁贈与税の対象とならない弔慰金等|所得税目次一覧|国税庁
 
 
相続税法基本通達3-20により弔慰金等に相当する金額として取り扱われたものについては、個人からのものにあっては相続税法基本通達21の3-9《社交上必要と認められる香典等の非課税の取扱い》により、また、法人からのものにあっては所得税基本通達9-23《葬祭料、香典等》により課税されないと解して差し支えありません。
 

注記
平成26年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。

 

 

No.4405 贈与税がかからない場合

No.4405 贈与税がかからない場合|贈与税|国税庁No.4405 贈与税がかからない場合|贈与税|国税庁
 
贈与税は、原則として贈与を受けたすべての財産に対してかかりますが、その財産の性質や贈与の目的などからみて、次に掲げる財産については贈与税がかからないことになっています。
 
8 個人から受ける香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物又は見舞いなどのための金品で、社会通念上相当と認められるもの
 

 

法律や法律の制度趣旨から導かれる解釈はそうそう変わることはありませんが、国の税制は頻繁に変わります。

税に関して疑問や不安がありましたら国税庁のタックスアンサーや地域の税務署などへ最新情報を確認するようにしてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

About The Author

行政書士行政書士阿部隆昭
創業支援と資金調達に強い東京都北区赤羽の行政書士阿部隆昭。
事業計画書作成支援、創業融資申請サポート、補助金助成金申請、契約書作成、ビザ申請など、中小企業支援業務をメインに業務を行なっています。
業務経験20年の知見をフル活用し、クライアント様の事業運営をサポートします。