金融機関の融資担当者でも誤解されているのがこの事実。
一般の方にも多いと思います。
誰かが亡くなったら遺産分割協議をしなければならない、と思っている方。
誰かが亡くなっていたなら遺産分割協議書が残っているはず、と思っている金融機関の方。
死亡=遺産分割協議では決してありません。
次の場合には一般的に遺産分割協議がなされることはありません。
※一部の例外を除きます。
財産がない
遺産分割協議といっても、昔の言葉でいうと「遺産分け」です。
そもそも、分けるべき遺産が無ければ、協議の必要はないわけです。
したがって、遺産分割協議書も存在しません。
といっても、不動産や預貯金などの積極財産、借金などの消極財産が全くない人などいないでしょう?
と言われることはあります。
便宜上、全て旦那さんの名義にしている専業主婦の方が亡くなった場合には相続すべき財産が何一つないということはあります。
「離婚」の場合には、夫婦で築き上げた潜在的持分を顕在化するようになっているのですが、「死亡」の場合には、旦那さんの名義の
土地建物が内助の功により二分の一の所有権を奥さんが持っていた、とはならないのです。
相続人が一人しかいない
金融機関の人でもよく誤解しているのがこのパターン。
遺産はあるけど、協議すべきメンバーがいません。
「協議」というからには、二人以上の人が話し合うことが必要です。
遺産分けについて話し合う人がいない以上、遺産分割「協議」っていうこともありえないわけです。
遺言書が残っていた。
遺言書というカタチで被相続人(亡くなった人)の意思が残されている場合には、遺言が優先されるのが日本の相続のルールです。
財産があり、相続人も二人以上いる。
でも、遺言書があれば遺産分割協議がなされないこともあります。
「ことも」と書いたのは、実はここで枝分かれがあります。
遺言書があっても、相続人全員が集まって遺産分割協議をすることは、実はできます。
その場合でも、遺言書の中に遺産分割を禁止する定めがある場合は遺産分割協議をすることが出来ません。
このあたりは事案によって異なりますので、”そういうこともあるんだなあ”ぐらいに思っていただけるだけで十分です。
(遺産の分割の方法の指定及び遺産の分割の禁止)
第九百八条 被相続人は、遺言で、遺産の分割の方法を定め、若しくはこれを定めることを第三者に委託し、又は相続開始の時から五年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁ずることができる。
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