平成28年3月22日日本経済新聞朝刊
【実家の相続放棄 急増、故郷離れて就職・税負担イヤ】
住む予定がない実家などの相続を放棄する人が急増している。維持費用や固定資産税の負担を避けることが目的で、深刻化する空き家問題に拍車をかける恐れがある。所有者不在で倒壊の危険がある老朽家屋の解体費用は全て自治体持ち。安易な相続放棄に歯止めをかけるため、対策に乗り出す自治体も出始めた。
リンク先は日経電子版に登録していないと本文が読めないのですが、特別支障はありません。
この、「相続放棄」という用語
誤解している方がとても多い
メディアなどでの用語の使い方にも問題があるようにも思います。
住む予定がない実家などの相続を放棄する人が急増している。
この文章を素直に読むと、実家は相続しない人が増えてるんだぁ、って思いませんか?
結論からいうと、相続放棄というのは相続人ではなくなるということ。
相続財産のうち、
・田舎の実家は相続したくない
・東京の賃貸アパートは相続したい
・借金は相続しない
・金の延べ棒はもちろん相続する!
といったときに相続放棄をしてしまうとですね。
実家を相続しなくても済む代わりに、賃料が入ってくるアパートも金の延べ棒も手に入らなくなります。
なぜなら、
相続放棄をすると、その人は相続人ですら無くなるから。
また、相続放棄の手続きは、個別の財産を狙って出来るものではありません。
ゼロか100のどちらか。
あの土地は相続したい。
この建物は相続したい。
もちろん、こういった状況になるのは珍しくないのですが、執るべき方法は「相続放棄」ではないのです。
自分が受け取れる相続財産の全てを計算してプラスが出るなら、デメリットばかりが多い実家だろうとなんだろうと相続すればいいハナシです。
一旦、相続して自分の所有名義にしてから売却してお金に変えるなど、いくらでも方法はある訳です。
固定資産税の負担だけが予想され、売却の目処が立たない等、何ら価値のない実家が相続財産に含まれている場合でも、相続すべき状況はあるということだけ知っていて欲しいと思います。
行政書士阿部総合事務所
行政書士阿部隆昭