「きゅうちゃん」以外の名前が付けられた九官鳥に出会ったこと、ありますか?
私の実家では子供の頃に九官鳥を飼っておりまして。
やはり名前は、「きゅうちゃん」でした。
「きゅーちゃん」というようによく自分でも名前を言っていましたね。
大人になってからも、これまでに数匹の九官鳥に出会ってきましたが、そのどれもが名前は「きゅうちゃん」であり、自分で「きゅーちゃん」と言うことが出来るのです。
何かの名前が勝手につくということはなく、皆、人間がつけることになりますが、ほとんどの人間が九官鳥の名前を「きゅうちゃん」と認識しているのは本当にすごいことだな、と思います。
九官鳥を飼う=今日から名前は「きゅうちゃん」
この感覚、皆に染み渡った一般常識といいますか。
どうして九官鳥の話をしているかと言いますと、実は昨日のコンプライアンス研修の中で「一般常識」の話題になりまして。
「不祥事事案防止のための取り組み」をテーマにしたワークショップの後に参加者の方からこのような発言をいただきました。
「それぞれが一般常識を持って取り組めば良いのではないか?」
これは実はとても正しくて、いい意見だなあと思いましたし、その場でも素晴らしい意見を頂戴したと皆さんにお伝えしたのです。
「自分の常識は他人の非常識」
といった言葉もあるように、常識は人それぞれ違います。それは当然ですよね、誰もが知ってる。
例えば、将来のためと思って部下にハードなトレーニングを課したときに、責任職の「常識」では愛のムチに過ぎないのですが、それを受け止める部下には”パワーハラスメント”として捉えるかもしれません。
無邪気に”愛のムチ”をしならせる側は、疑っていません、自分の常識を。
多少厳しいかもしれないが、言わなくてもわかってくれているだろう、とさえ思っていることが多い。
ハラスメント系の不祥事事案は、この「一般常識」の幅や質が問題となることがあるのです。
といった状況はあるのですが、それでも、一般常識を持ってそれぞれが取り組めばいい、という感覚をお持ちになっているのは素晴らしいことだなあと思う。
何故かというと、その一般常識が、ご自身のコンプライアンスに対する感覚をブラッシュアップする出発点になるからです。
「コンプライアンス経営」といった言葉もあるほど、私たちビジネスマンは、コンプライアンスの大切さを様々な機会で触れることがあります。
多くの職場には「コンプライアンス規程」や「倫理規程」といった組織の構成員の行動規範が定められていると思います。
そのコンプライアンス規程や倫理規程を個々人の一般常識と擦り合わせることによって、コンプライアンス感覚を磨くことが出来るのです。
例えば、コンプライアンス規程の作り方として、定義規定を置くことがあります。
パワーハラスメントのコンプライアンス規程の例(サンプル)
パワーハラスメントとは、「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」のことをいう。
専門用語で「優越的力関係」といったりしますが、その優位性を背景に適正な範囲を超えて行為をしたときにパワーハラスメントと認定されることがあるのです。
ここでいう、「適正な範囲」。
これが正に、一般常識が作用する要素でもあるのです。
この規程を読んだときに、
”そうか、自分の一般常識を超えて、力が下の者たちに指示をしたときにもパワーハラスメントになってしまうんだなあ”
といったように、考えるキッカケをそれぞれが持つことがコンプライアンス研修の一つの意義だと思っています。
今回の研修がどれだけ皆さんに伝わったのかは今度のそれぞれの行動をみるより方法はありませんが、願わくば、気づきを行動に変えて、ご自身の職務執行を続けていった頂けるといいなあ。
解決支援コンサルタント行政書士阿部隆昭