自筆遺言書で生前贈与はできますか? 母は遺言書・・・
自筆遺言書で生前贈与はできますか?
母は遺言書を書いた時はまだ元気だったのですが、今や寝たきりの介護生活となりました。介護で仕事時間も削られ生活も苦しい為、財産を処分し介護などの生活費にあてたいと考えています。母は意志の確認がやや曖昧なため、母名義の不動産などが動かせません。
そこで、上記のように考えました。
どなたか適切なアドバイスを是非お願い致します。
遺言書は、遺言をした人が亡くなった後に効力が発生するもの。
生前贈与は、存命中に財産権を第三者に譲ること。
なので、遺言書で生前贈与をすることはそもそもできない。
ですが、質問の趣旨を考えると、介護費用捻出のためにご本人の財産を処分したいというのが本意なのですね。
私であれば、こうアドバイスします。
寝たきりということなので、介護度はかなり高いものと思われます。
意思の確認が曖昧、ということなので、法定後見の申立をすることによってお母様名義の不動産を処分する道が開けます。
後見申立の理由は、「介護費用捻出のために本人名義の不動産を換価したい」、といったものになると思います。
裁判所の統計によると、不動産の処分を申立理由とする成年後見申立は年間6000件以上もあるので、特別なことではありません。
成年後見制度が利用できるかどうかは、あくまで家庭裁判所の判断となりますが、不動産を売却して得た財産は全額お母様の介護費用に使われるとなると認められる可能性は高いです。
家庭裁判所の審判が下りれば、成年後見人がお母様名義の不動産を適切な価格で売却してお金に換え、施設費用その他介護費用に充てることが出来るようになります。
費用面で心配であれば、まずは家庭裁判所の後見センターに相談に行くべきです。
早期に売却したい場合には、成年後見申立、その後の不動産売却と立て続けに法律行為をする必要があるため専門職に相談するほうが良いでしょう。
相談する専門職は、弁護士である必要はありません。
もちろん、弁護士でも構いませんが、行政書士、司法書士でも問題ありません。
ただ、一点注意して欲しいのは、相続、遺言、成年後見、そして不動産売却に詳しい専門職に依頼して欲しいです。
私は17年ほど不動産関連にかかわっておりますが、不動産業界はある意味特殊な業界。
不動産登記簿が読めることは最低限、不動産取引の実態に馴染んだ専門職に依頼することにより、より間違いのないスムーズな手続を執ることが出来ると思います。
行政書士阿部総合事務所
行政書士阿部隆昭