「どれだけ便利になるかは分かっているけれど、どう書けばいいか分からない」—これは、省力化補助金の申請を検討されている多くの事業者様が抱える共通の悩みです。
特に省力化補助金〈一般型〉では、自由な提案が可能な分、「なぜその設備が必要なのか」「どのように省力化されるのか」を、自社の現状と照らし合わせながら説得力を持って説明する必要があります。今回は、省力化補助金の審査で最も重要視される「導入効果=省力化の根拠」の構成方法について、一次情報に基づき丁寧に解説します。

審査の視点:省力化の根拠とは?
公募要領では、「補助事業の有効性」すなわち省力化効果の明確さが重要な審査項目とされています。
具体的には、以下の点が評価されます。
- 課題(現状の業務負荷や非効率性)の明確化
- 導入設備の機能と適用業務の関係性
- どのような改善があるか(数値で示すこと)
- その効果が自社にとってどれほど意味があるか
導入効果の構成パターン
導入効果を説明する際の基本的な構造は、次の3段階で整理すると分かりやすくなります。
- Before(導入前の状態)
- After(導入後の改善)
- Effect(BeforeとAfterの差分としての省力化)
これに「時間・人数・件数」といった数値要素を組み込むことが、審査上の高い評価につながります。
実例:飲食店のレジ業務
具体的な例として、飲食店のレジ業務における省力化を見てみましょう。
- 導入前: 1件の会計処理に60秒 × 1日50件 = 50分/日(人手作業)
- 導入後: 自動釣銭機により30秒に短縮 → 25分/日
- 差分: 25分/日 × 25日営業 = 月間約10時間の削減
- 活用: 浮いた時間を仕込みや接客に再配分
図解・表の活用
審査で評価されやすいポイントとして、文章だけでなく次のような図表の活用が挙げられます。
- 業務フロー図(Before/After)
- 時間・件数比較表
- スタッフ配置シミュレーション
図解を用いることで、審査側に「一目で効果がわかる」構成となり、理解を促進します。
定量化できない効果も補足的に
すべての効果を完全に数値で説明できるわけではありません。その場合でも、「転記作業の削減でミス率が下がる」「顧客対応の質が向上する」など、業務品質・従業員満足・顧客満足といった観点からの言語化も評価に含まれます。
ただし、これらはあくまで「補足情報」であり、メインは定量的な効果の説明であることを忘れないでください。
NG例と改善案
以下は、避けるべき表現と改善案です。
-
NG例:
- 「便利になるので導入したい」
- 「最近よく使われているから効果があると思う」
-
改善案:
- 「業務時間が〇時間短縮され、その人員を〇業務に再配置できる」
- 「1件あたりの処理時間が〇%短縮し、月間で〇時間削減見込み」
このように、論理的で数値に基づく記述が最も高く評価されます。
まとめ
省力化補助金〈一般型〉の審査において、導入効果は単なる「機能紹介」ではなく、「現状の課題をどのように解決するか」を数値で説明する提案力が試されます。
審査員に伝えるべきは、以下のストーリーです。
- どこが、なぜ、今問題なのか?
- それがどう変わるのか?
- どのくらいのインパクトがあるのか?
次回は、審査項目に影響する「加点項目」の内容と、申請前にできる対策について解説します。
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