1. はじめに
動物病院が持続的な成長を遂げるためには、単に医療サービスを提供するだけでなく、飼い主(顧客)との関係を構築し、競争優位性を確立することが不可欠です。そのためには、ペットの飼い主のカスタマージャーニーを理解し、適切なマーケティング戦略を立案・実施する必要があります。
本記事では、カスタマージャーニーの各フェーズを説明した上で、優先順位をつけて効果的なマーケティング戦略を提案します。

2. ペットの飼い主のカスタマージャーニー
フェーズ1:認知(Awareness)
このフェーズでは、飼い主が動物病院の存在を知ることが重要です。ペットを飼い始めたばかりの人や、新たな動物病院を探している飼い主がターゲットとなります。
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主な課題
- 飼い主はどの病院が良いかわからない
- 口コミやオンライン情報に頼ることが多い
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情報源
- Google検索(例:「犬の予防接種 東京」)
- SNS(Instagram, X, Facebook)
- 口コミサイト(Googleマップのレビュー、ペット専門の掲示板)
- チラシやポスター
フェーズ2:検討(Consideration)
飼い主が候補となる動物病院をいくつかピックアップし、比較する段階です。
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主な課題
- 診療時間・料金・評判の比較
- 施設の清潔さや設備の充実度
- 獣医師やスタッフの対応
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情報源
- 動物病院の公式サイト
- SNSでの口コミ・評判
- YouTubeなどの動画コンテンツ
- 実際に病院の前を通る(外観チェック)
フェーズ3:訪問(Conversion)
実際に病院を訪れ、診療を受ける段階です。
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主な課題
- 初回の診療の満足度
- 獣医師の説明のわかりやすさ
- 料金の明瞭性
- スタッフの対応
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重要なポイント
- 初回診療の際に、ペットの健康管理プランを提案する
- 料金体系を明確に説明し、安心感を提供する
フェーズ4:リピート(Retention)
リピート利用するかどうかを決めるフェーズです。
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主な課題
- 定期検診やワクチン接種のリマインド
- 予約のしやすさ
- 迅速な対応(緊急時)
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重要なポイント
- LINEやメールでの定期的なフォローアップ
- 簡単に予約ができるシステムの導入
- 飼い主向けの健康管理情報の提供
フェーズ5:推奨(Advocacy)
満足した飼い主が病院を推奨し、他の飼い主に紹介する段階です。
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主な課題
- 口コミが発生しやすい環境の整備
- SNSでの投稿を促す仕組み作り
- リピーター向けの特典提供
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重要なポイント
- 口コミ投稿を促すキャンペーン
- 飼い主向けの特典(ポイント制度など)
- SNSでのフォローアップ施策

3. 優先順位別マーケティング戦略
第1優先:デジタルマーケティングの強化
現代の飼い主はインターネットを活用して病院を探すため、デジタル戦略は最重要です。
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Googleマップの最適化(MEO対策)
- Googleマップに正しい診療時間や写真を掲載
- 良い口コミの獲得
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SNSマーケティング(Instagram・YouTube)
- 診察の様子や病院の雰囲気を発信
- 飼い主向けの健康管理情報を提供
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SEO対策(ブログ・ホームページ)
- 「犬の歯磨き方法」「猫の健康診断の必要性」などの検索されやすい記事を掲載
第2優先:顧客体験(UX)の向上
リピート率を上げるために、診察時の体験を向上させることが重要です。
- わかりやすい料金説明
- 予約システムの簡素化(LINE・Web予約)
- 診察後のフォローアップ(LINE・メール)
第3優先:口コミ促進施策
紹介による新規顧客獲得を狙います。
- 口コミ投稿キャンペーン(Googleレビュー投稿で割引)
- リピーター向け特典(3回目の来院でプレゼント)
- SNS投稿の促進(病院で撮影OKのスペースを設置)

4. まとめ
動物病院のマーケティングは、カスタマージャーニーを意識し、各フェーズで適切な施策を打つことが重要です。特にデジタルマーケティングの強化と顧客体験の向上を優先することで、競争優位性を確立できます。
最も重要な3つのポイント
- オンラインの認知度を高める(Google・SNS活用)
- 診察体験の向上(UX改善・予約システム)
- 口コミを活用したマーケティング(紹介施策・キャンペーン)
これらの戦略を組み合わせることで、動物病院の持続的な成長を実現できます。
行政書士阿部総合事務所代表、行政書士阿部隆昭