第2回:ものづくり補助金で採択される申請書の書き方
はじめに
ものづくり補助金の申請において、申請書の質は採択結果を大きく左右します。2025年度からは審査基準が見直され、主に、「経営力」「事業性」「実現可能性」の3つの観点で評価されることとなりました。本記事では、これらの新しい審査基準に沿った申請書作成のポイントを解説します。
申請書作成の基本方針
申請書は、事業の全体像とその意義を審査員に伝える重要なツールです。新しい審査基準を踏まえ、以下の点に留意して作成しましょう。

- 経営力の強化
- 経営戦略の明確化:自社の長期的なビジョンや戦略、経営目標を具体的に示し、ものづくり補助金がどのように会社全体の事業戦略と関連しているか等も説明します。
- 環境分析を踏まえた事業戦略策定:外部環境や内部環境の分析を踏まえたうえで、事業戦略を策定しているか?等も説明します。
- 事業性の明示
- 市場分析と競争優位性:ターゲット市場の動向や競合分析を行い、自社の強みと差別化ポイントを明確にします。
- 収益性の確保:具体的な売上予測や利益計画を提示し、事業の収益性を裏付けるデータを提供します。
- 実現可能性の提示
- 技術的な裏付け:導入予定の技術や設備の詳細を説明し、その技術的優位性や実現性を示します。
- リスク管理:事業推進上のリスク要因を洗い出し、それに対する具体的な対策を記載します。
申請書の構成例
新しい審査基準に対応した申請書の構成例を以下に示します。
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事業概要
- 事業の目的、背景、対象市場を簡潔に記述します。
- 現在の課題や業界の動向を踏まえて、なぜこの事業が必要かを説明しましょう。
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経営戦略と組織体制
- 自社の経営戦略(短期・中長期のビジョン)を示し、補助金活用による改善点を明確化します。
- 組織体制の整備状況や人材育成計画を具体的に記載し、強化の方向性を明示します。
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市場分析と事業計画
- 対象市場の規模、成長性、競合状況を具体的なデータに基づいて分析します。
- 競合他社との差別化ポイントを示し、自社の優位性を強調します。
- 製品・サービスの提供方法、販売戦略、マーケティング計画を詳細に説明します。
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技術導入計画
- 導入予定の技術や設備の概要を説明し、それがどのように事業を改善するかを記載します。
- 技術導入の工程やスケジュールを具体的に示し、実行可能性をアピールします。
- 技術の優位性や他社との差別化を示すデータや資料を活用しましょう。
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収益計画とリスク管理
- 補助金活用による収益予測を定量的に示し、その根拠を明確に説明します。
- 事業の実施過程で発生し得るリスクと、それに対する具体的な対応策を記載します。
- 特に市場変動や技術的な課題への対策について明示することが重要です。
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補助金活用の意義
- 補助金の活用によって達成できる事業効果や社会的意義を示します。
- 地域経済への貢献や雇用創出といった社会的価値を強調しましょう。
まとめ
2025年度のものづくり補助金では、新たな審査基準に対応した申請書作成が求められます。
「経営力」「事業性」「実現可能性」の各観点を十分に考慮し、具体的かつ説得力のある申請書を作成することで、採択の可能性を高めることができます。