ワイモバイルのPocketWifi305ZTが話題になっています。
ワイモバイル、「無制限」謳い販売したWi-Fiルーターに、突如「3日間1GB制限」を掛けて炎上。
このルーターは、500円/500MBの通信量追加が何度でも無料で行える「CA対応Pocket WiFi使い放題キャンペーン」が適用できるため、通信が実質的に無制限であることを謳って販売されており、価格.comでも75製品中1位の人気商品となるなど、かなりの高評価を得てきました。
ところが4月以降から突然、3日間の通信量が1GBを超えた場合、通信速度制限が掛かるようになったそうです。価格.comでは製品の評価は急激に低下。星1のレビューが急増。Twitterでも同様の報告が相次ぎ、炎上状態になっています。
・ 通常速度に戻す追加料金(500MBごとに500円)が最大2年間※無料。
速度制限について
● 通常速度に戻す場合はMy Y!mobileまたは、Pocket WiFi本体のタッチスクリーン※からお申し込みが必要です。
※タッチスクリーンへの速度制限開始の通知には、時間がかかる場合があります。
また、圏外等で通知を受信できない環境ではお申込みいただけません。
※お申込みができない場合は、時間をおいて再度お試しいただくか、My Y!mobileからお申込みください。
● 別途、通信品質確保を目的とし、利用通信量が特に多いお客さまに対して、通信速度制御を行います。
通信の制限について
そもそも、この「無制限」は本来的な無制限ではなく、例外的に制限を解除する料金が無料。
「無制限」なのですが、「制限」されるのが原則になっているという仕組みです。
最初からまるっきりの無制限にしてしまうと後から修正するのは難しいですが、原則を例外で曲げている以上、例外が相応しくないと判断される事情が発生すれば、例外を外してしまえばいい。
だって、そもそも例外なのですから。
小さな文字でとっても分かりにくいのですが、上記の赤文字にしている部分。
「通信の制限について」
ここが公式サイトですとリンクに飛べるようになっています。
http://www.ymobile.jp/service/info/tsushin.html
通信速度の制御について
「ワイモバイル通信サービス」にご契約いただいたすべてのお客さまに快適なサービスをご利用いただくため、「帯域制御の運用基準に関するガイドライン」に基づき、ご利用料金プランによる低速化とは別途通信速度の制御を行う場合があります。
対象プラン 対象 制限期間
Pocket WiFiプラン
Pocket WiFiプラン+
Pocket WiFiプランS 前日までの3日間のご利用通信量が、
839万パケット(約1GB)以上 当日6時から翌日6時まで
※ PHS通信は対象外です。
※ 基準については、今後の通信品質状況によって見直す可能性があります。
ここに通信速度の制限についての記述がありました。
「3日間」
「1GB」
などという用語が書かれていますので、話題になっている「3日間1GB制限」はこの部分を指すものと思われます。
そもそも、この「帯域制御の運用基準に関するガイドライン」ってなんでしょう?
ワイモバイルの契約者すべてに適用されています。
契約するときに読むことはないでしょうけれど、適用されているのは確かです。
しかも、利用している料金プランとは別途ということは、このガイドラインに基づく制限規定は独立に働くということです。
なんだか怖いですね。
「帯域制御の運用基準に関するガイドライン」
http://www.jaipa.or.jp/other/bandwidth/guidelines.pdf
(2)法的性質
本ガイドラインは、裁判例や行政機関による法令の適用関係に関する解釈をまとめたものではなく、あくまでも事業者としての行動の指針として、事業者団体が自主的に策定するものである。したがって、本ガイドラインは、法的効力を有するものではなく、これを遵守するか否かについては、個々の事業者の判断に任される。
しかしながら、帯域制御に係る要件が本ガイドラインによって整理・公表されることにより、今後、電気通信事業者が本ガイドラインに従って制御を実施した場合には、形式的には「通信の秘密」を侵害する態様で帯域制御が行われた場合でも、正当業務行為として違法性が阻却されるとの判断がなされることが期待される。
② 特定のユーザの利用を制御する場合
● ネットワーク帯域の逼迫により一般ユーザの通信サービスの利用に支障が生じている又は支障が生ずる蓋然性が極めて高い事態に対
処するため、ヘビーユーザに対する通信帯域の制限または一定基準の超過に対して警告することを目的として、個別ユーザのトラヒック量を検知する場合
ネットワーク帯域が逼迫し、一般ユーザの通信品質に支障が生じている又は支障が生ずる蓋然性が極めて高いといった客観的状況が現れており、その原因が特定のユーザが大量のトラヒックを発生させていることによる可能性がある場合には、トラヒックの適正管理によるネットワークの安定的運用を図るため、個別ユーザのトラヒック量を検知することは、一般的には、目的の正当性、当該行為の必要性、手段の相当性が認められるものと考えられる。
「利用者の公平」を趣旨とするガイドラインについての対応は事業者の自主的な判断に任されています。
このガイドラインを根拠として、ワイモバイルの「3日間1GB制限」が定められていると思われます。
「3日間1GB制限」が規定さていることはわかりました。
根拠となるガイドラインの存在もわかりました。
利用者の公平を守るためにヘビーユーザーには「3日間1GB制限」をかける。
ガイドラインの遵守が事業者の判断に任されている以上、4月になって突然制限をかけてきたといった対応もやむを得ないのかもしれない。
ロジックとしては成立しそうです。
インターネットの利用なんてユーザーによって様々。
「3日間1GB制限」なんて全く関係ない人もいるでしょうし、お仕事の関係で死活問題という方もいるでしょう。
これでは、契約した意味がありません。
問題は。
ワイモバイルの契約時にこれらを知っている人がいたかどうかです。
ガイドラインに基づく「3日間1GB制限」が事業者の判断で行われること。
予見したうえで契約をしたのだったら、「あっ、やっぱり制限かけてきたな」と納得出来るかもしれません。
でも、多くの利用者はこの制限など知らず、
500円で解除できる例外を何度でも無料で使える。
ん?
つまり無制限じゃん!
そう思ってしまうのは無理がない。
自分でもきっとそう思っていた。
携帯端末の契約はとにかく複雑に出来ていて、途中で理解を放棄したくなるのが普通。
説明義務違反といったものが事業者側にあるのかは分かりません。
これだけ話題になったからには、これから契約をする際に「3日間1GB制限」の可能性は説明して欲しい。
そして、「無制限」だと信じてこれまでに契約をした方についても不利益がないような形で対応してくれたらと思います。