彼女は頷いた。
顎に決意の梅干しができている。
たまたま行った図書館の「今日返却された本」コーナーで50冊ぐらいの中から手にとった一冊。
まず、表紙とタイトル文字フォントに惹かれました。
有川浩さんは初めてなので、どんな作風だかも知りません。
他にも、有名作家がずらっと並んでいたのですが。
どうしてだろう、本との出会いはいつだって不思議。
思考することと引き換えに命を失っていくという奇病「致死性脳劣化症候群」を患ってしまった主人公の妻。
治療法はなし。
延命策は、唯一、考えないこと。
病院での診断の場面のあとは、二人の出会いへ。
会社の上司と部下。
上司の彼は、小説を「書ける側」を目指していて挫折し、今「読む側」にいるひと。
病気の彼女は、小説を「書ける側」の人。
でも、出会いの場面では、それに気づいていないし、気づこうともしていない。
社内持ち込み禁止の彼女のUSBメモリの内容を彼が見たときから二人のストーリーは動き出す。
有川浩さんの文章、好きです。
図書館にいるうちに、パラっと読むつもりが、つい引き込まれた。
文中の彼の言葉を借りれば、そう。
一行目から吸い込まれた。
するすると目が文章を追う。
いや、目が文章に吸い付いて離れない。
文章に連れて行かれるようにー意識が持って行かれる。
あっという間に読み終えることができました。
おもしろいし、泣けるし、考えさせられる。
自信をもってオススメできる小説です。
読んでよかった。