本書全体を通して比較されているのは次の二つの社長
年中働きづめの社長
3ヶ月休める社長
特に、私たち「士業」は前者の形態をとりがち。
といいますか、専門職としてのスキル頼みになってくるので、どうしても本職でなければできない仕事が多くなってきてしまうのです。
勢い、本書にも登場してくるような、
「なんとかしてくれ!、なぜか毎日自分だけが忙しいんだ。社内の他のスタッフは6時になれば皆帰ってしまうのに、自分は朝一番に来て、一番遅くまでいる。
土曜も日曜も働いている。
まるで社員に給与を払うために働いているみたいだ!」
こういった感想を経営者が抱いてしまう状況になってしまうと、もうすでに組織としては末期的な症状。
社員は社員で別な感情を抱いているでしょうし、理想の組織の在り方であれば、代表者の仕事をサポートし、代表者でなければ出来ない仕事に注力してもらうためにスタッフが努力する。
そういった動きをするはず。
であるにもかかわらず、6時に帰ってしまうのにはそれなりの理由が必ずあります。
そこに気づかずに、「社員に給与を払うために働いている」と思ってしまうこと、そのこと自体が誤りだと気づくのはなかなか難しいでしょうね。
そういった心持ちで働いている代表者は、自らの体力や気力の限界というものによって見事に頭打ちになります。
結局、顧客不満足を解決するためや、社会貢献などといったこととは程遠い、自分のためだけに仕事をしていたのだとある段階で必ず気付いてしまうことになるのです。
本書で言っている「3ヶ月休める社長」というのは、長期のバカンスを取れるほど余裕のある生活をしましょう、なんてことを言っているのではありません。
3ヶ月休める社長
つまり代表者である自分がいなくても回り続ける仕組みを作りましょう。
そう言っているんですね。
なぜか。
社長には社長でなければ出来ないことがあるからです。
そのために精力を注ぎ込むべきなんです。
例えば、
ビジネスモデルを作り上げたり。
夢の実現方法を考えたり。
日々の仕事に一生懸命になってしまうと、本来自分がなすべきもの、やりたいこと、あるべき自分、そういったものから遠ざかったしまうんです。
本書はそういった意味で、起業家が本来目指すべき場所を気付かせてくれました。
ただ惜しむらくは、本書の構成が見開き2ページ単位でメソッド形式で書き綴られていくこと。
小説風のプロローグが面白かっただけに、自分としてはちょっと物足りなかかったですね。
でも、いい本ですよ。
お薦めします!