地域包括支援センターが選べない不思議。
高齢者との関わりのない方にとっては、まったく身近な存在ではない公的機関。
それが地域にある地域包括支援センターです。
地区によっては、「高齢者あんしんセンター」といった愛称で呼ばれているところあり、私の地元、東京都北区もそうです。
縦に長い北区には、いくつかの地域包括支援センターがあり、支援する高齢者の住所地によって管轄の地域包括支援センターが決められているのです。
普通の役所と違って、住民票を取得して終わり、年金の手続きをして終わり、といった関わりとは少し地域包括支援センターは違います。
介護認定の手続きから始まり、デイサービスや訪問介護などの介護保険サービスを利用している限りは地域包括支援センターとの関わりは切れることがありません。
それだけに、高齢者が地域で快適に暮らすためには、自分の住所地の地域包括支援センターの役割が大きな要素になってくるのです。
皆さんにも経験があることと思いますが、役所によって、端的に言えば、良い悪いといった感情を持たれることがあると思います。
窓口対応しかり、担当者の言葉遣いしかり。
それは、もちろん、というか一区民としてとても残念ですが地域包括支援センターにもあります、事実として。
また、私自身、地域の高齢者支援を業務の中心としている関係上、たくさんの高齢者と関わっています。
その中で、
あそこの地域包括支援センターは対応がいいらしい。
ここの地域包括支援センターは感じ悪い。
といった評価を耳にすることがあります。
エリア制なので、ほぼ全ての高齢者は、自分の住所地以外の地域包括支援センターの対応を知ることがありません。
なので、「あそこの」と言う場合は、お友達などからの伝聞です。
伝聞だから不正確といったことは実は全くなく、デイサービスの仲間から聞く情報にはとても信頼性があります。
なぜか?
たいていの場合、その人の体験談だからです。
もちろん一方的な感情ではありますが、そういった感情を受けたことは事実なので、聞き入れる価値があるのです。
以上のような高齢者と地域包括支援センターとの関わりの中で、評判の良くない地域包括支援センターは厳然としてそこに存在し、そして何かの拍子に関わると、「なるほど、高齢者の感覚は正しい」と合点することが多いです。
そこの区役所の対応が不満なら、他の役所で住民票を取ることももちろん可能ですし、現にそうしている方も多い。
ですが、地域包括支援センターは、です。
もう一度言います、
地域包括支援センターだけは変えることが出来ない。
一区民としては、これはとても不合理だと思います。
地域包括支援センターに関わらず、組織である以上、そこには必ずその組織としての「カラー」が存在します。
事業会社でいえば、「社風」といったようなものです。
その「カラー」なり、「社風」には合わない高齢者だって居るわけですよ。
自分と合わないカラーや社風の地域包括支援センターと長い長い関わりを持つ、実は、これこそが恐ろしく重大な負担になっている事実。
もちろん、住所地を管轄として要保護者に気を配るシステム、地域包括ケアシステムは有用です。
ですが、それが有用なのは、それが機能している限りにおいてのハナシです。
ある要保護者の家庭があることを知りながら、明確な要請がないからといった理由で、放置と同様の状況に置かれるのはいかがなものかと思う。
これでは、地域包括ケアシステムが機能していない。
機能していない以上、住所地を管轄として地域包括支援センターを定めている意味がない。
結論としてはそうなります。