2026年に始まった「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(新もの補助金)」の革新的新製品・サービス枠では、機械装置・システム構築費の計上が必須です。
しかし、機械やシステムを導入するだけで、新製品・新サービスの開発を伴わない計画は補助対象事業に該当しません。対象経費と対象事業は、分けて考える必要があります。
まずは1分の動画で、判断のポイントをご確認ください。
結論:機械装置費が対象でも、導入だけの計画は対象にならない
第1回公募要領6ページでは、革新的新製品・サービス枠について、次の考え方が示されています。
- 革新的な新製品・新サービス開発の取組が補助対象
- 既存製品・サービスの生産等のプロセスを改善・向上する事業は補助対象外
- 単に機械装置・システム等を導入するにとどまり、新製品・新サービスの開発を伴わないものは補助対象事業に該当しない
一方、この枠では補助対象経費として機械装置・システム構築費の計上が必須です。
つまり、機械装置費は計上すべき経費ですが、その機械を導入すること自体が事業目的ではありません。機械を使って、どのような新製品・新サービスを開発し、顧客にどのような新しい価値を提供するのかまで説明する必要があります。
「対象経費」と「対象事業」を分けて考える
補助金申請では、導入したい設備を先に決め、その設備が対象経費の一覧にあるかを確認するだけでは不十分です。
- 機械装置・システム構築費として、その支出を計上できるか
- その設備投資を含む事業計画が、革新的新製品・サービス枠の補助対象事業に該当するか
対象経費として計上できる設備であっても、事業計画が既存製品の増産、既存工程の効率化、設備の更新だけにとどまれば、この枠の対象事業には該当しません。
既存工程の改善・向上だけでは対象外
革新的新製品・サービス枠は、単なる生産性向上や省力化を目的とする枠ではありません。
- 老朽化した加工機を最新機種に更新する
- 既存部品の生産速度や生産量を高める
- 既存サービスの提供工程を効率化する
- 既存システムを高性能なシステムへ置き換える
これらの投資に経営上の意味がないということではありません。しかし、革新的新製品・サービス枠で求められている「新製品・新サービスの開発」とは、別の論点です。
必要なのは「顧客への新しい価値」
公募要領では、革新的な新製品・新サービス開発について、顧客等に新たな価値を提供することを目的に、自社の技術力等を活かして開発することを目指すものと整理されています。
- どの顧客が、どのような課題を抱えているか
- 自社が、これまでにないどのような価値を提供するか
- その価値を実現するために、どのような新製品・新サービスを開発するか
- 開発・生産・提供のために、どの機械やシステムが必要か
導入したい機械から計画を始めるのではなく、顧客の課題と新しい価値から設備の必要性までをつなげることが重要です。
加工機を導入する場合の考え方
既存部品を従来より速く、数多く生産することだけが目的であれば、既存製品の生産工程の改善・向上という整理になります。
一方、自社の技術と新しい加工機の機能を組み合わせ、これまで製造できなかった性能や機能を持つ部品を開発し、新しい顧客課題を解決する計画であれば、革新的新製品・サービス開発として検討する余地があります。
ただし、これは考え方を示す例であり、新機能を加えれば自動的に対象になる、採択されるという意味ではありません。市場性、実現可能性、付加価値、投資の必要性なども含めて審査されます。
同業他社への普及状況にも注意
公募要領では、業種ごとに同業の中小企業者等において、すでに相当程度普及している新製品・新サービスの開発も、この枠には該当しないとされています。地域性の高いものは、同一地域の同業他社における普及状況で判断されます。
- 同業他社の類似製品・サービス
- 既存製品との機能、性能、用途、顧客層の違い
- 顧客が新しいと感じる価値
- 自社の技術力やノウハウを活かす部分
- 売上見込みや市場規模の根拠
申請前の確認項目
- 計画の中心が設備更新や既存製品の増産だけになっていないか
- 新製品・新サービスの内容を具体的に説明できるか
- 顧客に提供する新しい価値が明確か
- 同業他社にすでに相当程度普及していないか
- 自社の技術力と設備投資の必要性がつながっているか
- 売上計画、資金計画、賃上げ要件まで数値で検証できているか
設備の見積もりを取得する前の段階でも、対象枠と事業計画の方向性を整理しておくことが大切です。
新もの補助金の活用を検討している方へ
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新もの補助金の3枠、対象経費、賃上げ要件は、こちらの全体解説動画でご確認いただけます。
本記事は、2026年7月15日時点の新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 第1回公募要領1.0版(2026年6月29日)に基づく一般的な解説です。個別案件の補助対象性や採択を保証するものではありません。申請時は、公式サイトおよび最新の公募要領をご確認ください。


