「あなたにはミッションやヴィジョンが感じられないですねぇ」
と、大上段に構えたコンサルタントに指摘され落ち込む若手経営者の卵さんを前にして、
「じゃあ、あんたは創業時から大層なミッションがあったのかい?、と言い返してやればよかったのに」
という言葉を飲み込みました。
事業計画書の中で、作るのが難しいとされるのは「数字周り」と「ミッション・ヴィジョン」です。
数字周りは同業種の事業計画書の記載例を真似てある程度の体裁を整えることができます。
ですが、ミッションやヴィジョンといったものはその経営者さんが事業によって何を実現したいのかにもよるので真似することが難しいのです。
なので筆が止まってしまうわけです。
しかし、モノの本では、ミッションやヴィジョンは、かくあるべきといったものがあるので、それが書かれていない事業計画書に出会ってしまったときに”これはイカン”とダメ出しするコンサルタントがいるわけです。
考えてみれば、創業時にミッションやヴィジョンが固まっていない事業者なんて普通、むしろそれが当然です。
世の中の不公平や不満不安を是正すべく立ち上がった!
などといった事業はほんの一握りでしょう。
”会社の業績が思わしくリストラが始まったので止むに止まれず起業する”
”このまま会社に残っても将来性がなく、残るも地獄進むも地獄、ならば可能性のある地獄にかけようと思って起業した。”
前職との関係性もあるので詳細は書けませんが、私が起業した理由もそれらに似たり寄ったりです。
そういった理由で起業した経営者にミッションやヴィジョンなど無いのが普通でしょう。
それが悪いのかといえば、全然悪くありません。
いやそもそも、ミッションやヴィジョンなんてものは実際に事業を行って、クライアントに評価を頂きながら自然と方向性が固まっていくものです。
”御社にお願いしたから、◯◯が△△になったのよ。ありがとうございます!!”
”御社にお願いしたからこそ、◯◯するところを救われた。ありがとうございます!!”
そこで分かるはず。
その事業がどのようにして社会に影響を与え、クライアントがどう変化し、以てどういった社会になったのか。
これを逆算したのがミッションでありヴィジョンということで間違いありません。
ミッションとは存在意義のことを言い、ヴィジョンとはある期間で実現したい未来を言う。
なんてことを言うこともありますが、そのあたりは正直どうでもいいし、その細かい区分けを重用する場面はほとんどありません。
ミッションやヴィジョンは実際に事業を行ってからでないと分かりません。
これ、正解なのですが、さすがに事業計画書の中のミッション・ヴィジョン欄にこのとおり書くわけにはいきません。
ですので、想像しましょう。空想しましょう。妄想しましょう。
御社がクライアントさんから感謝される場面を。
ミッションやヴィジョンを見つけるヒントは、そこに隠されています。
解決支援コンサルタント行政書士阿部隆昭