外国人雇用において、多くの企業が見落としがちなのが「不法就労助長罪」のリスクです。
「うっかり」では済まされないこの問題は、外国人本人だけでなく、企業の存続そのものに大きな影を落とす可能性があります。

現場で起きるのは「無知」ではなく「確認体制の形骸化」
多くの経営者は、「観光ビザでは働けない」「資格外活動には制限がある」といった基本はなんとなく理解されています。しかし、実際の現場では以下のようなトラブルが発生しています。
- 採用を急ぐあまり、確認が不十分になった
- 確認書類のチェックが形式的(形だけ)になっていた
- 在留資格の変更・更新タイミングを誤認していた
誤解しやすい「短期滞在」の落とし穴
「短期滞在」は“訪問”のための在留資格です。
不法就労の典型例として挙げられるのが「短期滞在」での就労です。
これはあくまで“訪問”を目的とした在留資格であり、報酬を伴う就労は一切認められていません。
【短期滞在の主な活動例】
- 観光・知人訪問
- 短期間の商談、市場調査
- 学会や会議への参加
- 契約締結前の打ち合わせ
⚠️ 実務上の注意点
「商談で来日しているのだから、少し手伝ってもらうくらいなら良いだろう」という判断は厳禁です。在留カードの資格が「短期滞在」であれば、その時点で原則雇用はできません。
本当のリスクは「刑罰」の先にある
企業の「継続性(ゴーイングコンサーン)」への影響
不法就労助長が発覚した場合、罰則そのもの以上に恐ろしいのがビジネスへの波及ダメージです。
| 影響が及ぶ可能性がある場面 | 具体的なリスク内容 |
| 許認可事業 | 免許の更新や新規取得が困難になる |
| 官公庁案件 | 入札参加資格の剥奪や指名停止 |
| 大手取引先 | コンプライアンス審査による取引中止 |
| 公的支援 | 補助金・助成金の不採択、返還請求 |
「外国人雇用のミス」は、会社全体の信用失墜に直結する構造であることを認識しなければなりません。
外国人雇用は「事務手続き」ではなく「ガバナンス設計」
外国人雇用は、日本人の採用と異なる事務作業だけが問題なのではありません。
企業がコンプライアンスを守り、従業員(日本人社員を含む)の生活基盤を守るための経営管理(ガバナンス)そのものです。
万が一、企業の法令違反が問われれば、その影響は全社員の雇用とライフプランにまで及びます。日本人労働者、外国人労働者を問いません。
採用前確認こそが「経営防衛ライン」
“知らなかった”では済まされない領域だからこそ、以下の仕組み作りが不可欠です。
- 採用時の徹底した資格・就労範囲の確認
- 在留期限のデジタル管理(アラート化)
- 資格外活動の範囲チェック
- 担当者任せにしない「社内運用ルール」の整備
行政書士阿部総合事務所では、外国人雇用を単なる手続きとしてではなく、「企業の継続性と人材戦略」の観点からサポートしています。
制度と現場運用の設計に不安を感じている方は、リスクが顕在化する前にぜひご相談ください。



